2008/12/31

ライブ、放哉、石田彰

年末ライブ。
二人組のエレクトロなユニットでやったのです。
私がPCでAbleton Liveを、相方がAKAIのMPCを中心にして、それぞれKAOS PADやらヴァイオリンやら口琴やらおもちゃの楽器やらを詰め込む感じで。
その場のノリで音を出したり出さなかったりする訳だ。

然し大きく失敗してガンヘコミ。

半年前の、私の一番最初の計画では、20分程度のソナタ形式或はそれに準ずるものを一曲描く筈だった。
つまり数個の音型的テーマとその反復とか展開などが含まれる、一つの曲だ。
一つのテーマに雅楽の、蘭陵王の陵王乱声のテーマを取り入れることが計画されていた。
それで聴いてる人を片っ端から薙ぎ倒していく筈だった。
3ヶ月前の二番目の計画では、それが全く頓挫してしまって、代わりに20分程度の組曲にすることになっていた。
複数個の曲を一つの概念的或は物語的テーマでまとめあげる訳だ。
然し実際には、1ヶ月前になってやっと、てんでバラバラの、ループ素材を適当に作って並べただけの味気ない曲が幾つか用意できただけだった。
まあこれなら特に覚えたり練習したりする必要もない。
序でに言っておくと、声を取り入れることがテーマ。
例えばビートニク風に詩を朗読するとか。
ビート風の詩の朗読はずっとやりたかったんだ。
あとクラブミュージックで一般的に使われている技法はできるだけ使わないように心掛けた。
ささやかな、余りにささやかな抵抗だ。
あとは機材でなんとか適当に誤魔化して形を保つ、ということが目標となった。

流石にこれでは、やっても恥をかくだけだと思い直して、昨日の夜中ノソノソとベッドの中から這いずり出てきて、尾崎放哉の句「死ぬ事を忘れ月の船漕いで居る」を中心として、放哉の句集から幾つか自由律の句を選び、序でにたまたま録画していたキャシャーンのアニメの「死を恐れる青年よ、生きるとは何かを見に行こうじゃないか」と石田彰の声(かっけー)で言ってるのをサンプリングして編集し、それから詩を新たに6編書き上げた。
放哉の句と私の詩6編で、「死の想起→人間性の否認→疎外→異議申し立て→人間性と生活の回復→社会的希望の獲得」というような話の道筋を作り上げた!
これを石田彰の声の台詞がまとめている訳だ。
私スゲエ。
音は駄目でも、これでなんとかそれなりのものにすることができた筈だ。
私は満足して2時間程寝ることができた。

ライブ。
ウィダーインゼリーとリポビタンDとアリナミンVを取り敢えず体に流し込んで、ステージに立つ。
全6曲。
最初の4曲で「死の想起→人間性の否認→疎外」までをできるだけ平坦に足場の脆弱な感じでやって、1曲挟んで、最後の曲で「異議申し立て→人間性と生活の回復→社会的希望の獲得」まで一気に行く。
音も最後に詰め込まれる。

という予定だったが、二人の間の意思疎通の失敗の所為で、一曲の演奏時間がそれぞれ思ったより少しずつ伸びてしまい、時間的に最後の曲ができなくなってしまった。
私はやりたいことの半分もできずに終わってしまった。
ああ・・・。

序でに本番の出音が凄く悪かったり、自分が思っていたようにはうまく演奏したりうまく相方の意図を汲めなかったこと等もあって、ガンヘコミな訳です。
「幾ら悪くてもこれ以上は悪くなることはないだろう」と想定していたボーダーラインより悪かったのだ。
テラヘコむよ。
ペタヘコむよ。
ここまで失敗感のあるのは久しぶりだ・・・。