2021/04/18

そうだ、ハンダ付けしよう for ギタリスト

自分の楽器のメンテナンスは或程度は自分でできた方が良い。
楽器なんざ何でもいいってんなら何でもいいんだろうけれども。
或は金なら幾らでも積めるってんなら人でも雇えばいいんだろうけれども。
自分でメンテできるようになれば、その分楽器への理解も深まるというモノだし、あと多くの場合、色々と安くつく。
リード楽器(篳篥とかファゴットとか)奏者が自ら葦を削るのを見習うなら、エレクトリックギターの演奏者は・・・まあ弦から自作するまでは要らないかも知れないけれど、ハンダゴテぐらい 1本 持っておいた方が良いように思える。

ギターも長年使ってるとジャックの接触が悪くなってきたりポットがガリガリいうようになったりしますやん?
或はピックアップとか交換したくなってきますやん?
ハンダゴテが使えるようになるだけで、この程度の修理なら高い金払ってリペアマンに頼む必要が無くなる。

但、ハンダゴテ 1本 だけ買えばいい訳ではなくて、他にも色々揃えなければハンダ付けができない。

つうことで、ハンダ関連の道具立てについて書いていこうと思う。
技術的なことは、YouTube とかで勉強できる。

必須のもの:

あると便利なもの:

その他周辺機器:

ハンダゴテ

つうことでハンダゴテよ。
大別すると、先ず加熱媒体の違いで「ニクロムヒーター」と「セラミックヒーター」の区別がある。
それぞれ形状も異なる。
ガス式とかもあるけどまあギタリストはあまし使わんと思うので無視。
メーカーは日本では goot と HAKKO がツートップかね。
交換用のコテ先の種類多くて入手性も良いのでオススメ。

ニクロムヒーター

ニクロムヒータータイプは昔からあるタイプで、高熱容量のもの(一度温まると温度が下がり難い)が手に入り易かったり値段が安かったりというメリットはあるけれど、コテの温度が上がり難かったり構造上コテ先から持ち手までの距離が伸びがちで若干使い難かったり、あとコテ先の形状が殆ど選べなかったりするのがデメリット、という感じ。
板金用とか木材に刻印とかは今でもニクロムヒーターが主かね。
エレキギターに関して言えば、例えばポットの背のハンダ付け等で熱量が要る場合に 60W ぐらいのモノを使うのもまあアリっちゃあアリだけど。
値段は数百円とか。1,000円 あればお釣りが来る。
但、60W とかだとコテ先の温度が上がり過ぎるので、ケーブルとかで耐熱性の低い被覆のものをハンダ付けしようとすると、被覆が溶けてその部分の耐久性が著しく損なわれる。
そうならないように温度の高くなるハンダゴテでもちゃんとしたハンダ付けをしようとすると、実は割と慣れが必要になる。
ギター内部配線とかで使うケーブルぐらいだとホントは 15-20W ぐらいが使い易いのだけれど、それだとポットの背とかシールドケーブルのハンダ付けする場合なんかには熱量が少な過ぎて使い難いし。

今日で謂う「ヴィンテージ」の時代にはニクロムヒーターのハンダゴテしかなく、また耐熱性の高い軟質樹脂(ビニール)被覆のケーブルも一般的ではなかったことだし、ギターとかアンプとかの熱量の要るモノの配線には耐熱性の高い綿被覆のケーブルが使われていた。
今日において綿被覆のケーブルを使うのは音とか耐久性とかよりも寧ろ「ヴィンテージ」という呪術の為であるが、昔は綿被覆ケーブルを使うべき合理的な理由があった訳だ。
現在では高耐熱のビニール被覆ケーブルも簡単に手に入るので、気を付けさえすれば、ギターのハンダ付けぐらいは 40-60W ニクロムヒーター 1本 でイケるかも知れない。
が、例えばピックアップの種類に拠っては高耐熱でないタイプのビニール被覆だったりするし、例えばエフェクターを自作したくなったりして小さい部品を扱うようになると 40-60W はデカ過ぎてめっちゃ使い難いと思う。

兎に角お金が無いというのでなければ、ギタリストがまあ敢えてニクロムヒーターのを選ぶことはないかなと思う。
逆にお金を掛けたくないのであれば、ニクロムヒーターの 40-60W のモノを買って、それで技術的難易度が上がる分は修行でカバーするって考えも、私はそんなには嫌いではないけれども、でもまあ楽ができるなら楽をすべきという考えの方が私好みではある。

つうことで、使えなくはないけど割と技術を要するという感じ。
私も昔はコレ 1本 でどうにかしてたけれど、今ではもう使うことは無い。

セラミックヒーター

セラミックはセラミックでまた色々バリエーションがある。
大別するなら、15-20W ぐらいの一般用、急加熱機能付き、調温機能付き、ステーションタイプ、という感じかね。

一般用

15-20W ぐらいの一般用だと、無理に使えば使えないではないけれど、ギターで使ってるような部品、例えばフォンプラグとかポットの背とか太いシールド線とかには熱量不足で長時間部品にコテを当てないといけなくなったりして逆に劣化や故障の原因になったりするので却下。
ギター関係で言うなら、コレを買うぐらいならまだニクロムヒーターの 60W ぐらいのを買った方がいい。

急加熱機能付き

急加熱機能付きは、通常時は 15-20W の一般用と同じような感じだけど、ボタンを押している間だけ 90-130W とかになるヤツ。
HAKKO の Presto とか goot の TQ-95 とか。1,500-2,000円 ぐらい?
Presto で 20W/130W、TQ-95 が 15W/90W。
ハンダゴテを持ち替えずに、ポットの端子部はボタンを押さずに低い温度で、背の部分はボタン押して温度を上げて使う、みたいなことができて便利。
goot にしても HAKKO にしても交換コテ先のバリエーションは多くはないけど、まあギターぐらいなら十分かね。
表面実装基板とかの細かい部品になってくるとキツいけど。
コテ先のバリエーションは goot が若干多いし、質感も goot の方が若干よさげ。
あと Presto の 20W って結構温度高くなっちゃうんよね。
ギター内部配線用ケーブルのハンダ付けぐらいなら 20W ぐらいが丁度良いんだけど、表面実装部品とかだと 15W ぐらいが丁度だったりする。
まあこの辺はコテ先の形状で結構変わってくるんだけど。
私はギター用には昔から持ってる Presto を使っているけど、今だったら TQ-95 を買ってもいい。

急加熱タイプを使う場合、コテ先の温度の勘が或程度無いと加熱し過ぎてコテ先も相手の部品も痛めてしまう。
多少は慣れが必要かね。
あとコテ先クリーナーは金タワシタイプじゃなくてスポンジタイプにすること。
何故なら加熱した後冷やす為。

調温機能付き

調温タイプは、まあステーションタイプの廉価版という感じか。
コテ本体に温度設定ボリュームみたいなのが付いていて、コテ先の温度を任意に設定することができるヤツ。
設定温度になったらインジケーターで知らせてくれたりするのも便利。
あと電源 ON からハンダが融ける温度まで上がる時間が一般用より短い。
HAKKO FX-600 とかがコテ先のバリエーションも多くていいんじゃないかと。4,000円 ぐらい。50W。
goot だと PX-201 ってのがあって、70W でハイパワーなんだけど、FX-600 と比べると私の手には一寸でかいんよね・・・。
取り回しの FX-600 か、パワーの PX-201 か、という感じかね。
調温タイプはコテ先の温度を大体一定に保ってくれるので、コテ先自体の劣化とかハンダ付けする相手の部品の劣化も最小限に抑えてくれる。
なので初心者にもオススメできる。若干高いけど。
あと温度が下がると自動で設定温度に上げようとするので、熱量の要る相手でもハンダ付けできる。
ポットの背も、急加熱機能付きのコテのボタン押してるときに比べたら若干熱量下がる感じだけど、まあ普通にハンダ付けできるぐらいはある。
相手に熱を吸われて丁度良い温度になるぐらいに予め設定温度を上げておくと楽。

ステーションタイプ

ステーションタイプはコテの部分とステーション部分が分かれていて、ステーション部分で温度とか色々設定ができたりする、高性能で多機能なヤツ。
用途毎にコテ部ごと交換できたりピンセット型のコテが使えるヤツがあったりする。
私も仕事で使っててめっちゃ良いんだけど、まあ歩留り向上とか仕事の効率が上がれば人件費分で元が取れるとか、という用途で、マトモなものを買おうとすると安くても 20,000円 ぐらいはする。上は青天井。
一応どんなんでもよければ海外ブランドで1/4ぐらいの値段で安いのも売ってるけど・・・交換コテ先の種類と入手性に依ってはまあその値段ならアリかも、という感じか。
表面実装基盤の部品交換とかを仕事としてする予定のある人とか、或は湯水の如く金を注ぎ込める人はステーションタイプから始めてもいいんじゃね?
でかいし場所取るけど。
立ち上がりは爆速で、電源 ON から使い始めるまで 10秒 掛からなかったりする。
HAKKO の FX-951 とかならコテ先の選択肢もめっちゃ広いし、コテ先の変更も一瞬で比較的安全にできるし、30,000円 ぐらいあれば一通り揃うので入門用としてオススメ。
或はアナログ版の FX-950 なら 20,000-25,000円 ぐらいで一通り揃うかね。
まあ仕事で温度管理を徹底する必要があるとかでなければ、要らん機能が付いてないアナログ版の方が色々楽かなあ、という感じ。
コテ先は付属の耐熱ゴムシートで掴んで引っ張れば抜けるので、GND パッド部のハンダ付けは表面積の広いコテ先を使って、1005 サイズの抵抗とかのちっちゃい部品には先の細いコテ先を使って・・・とハンダ付けする場所によってコテ先をポンポン換えていくことができるので便利。
goot だと RX-802AS かね。
コテ先交換は goot の方がスマートに見える。

オススメのハンダゴテ

つうことで、ギタリストにオススメのハンダゴテは:
goot TQ-95
HAKKO Presto
goot PX-201
HAKKO FX-600
辺り。
ギターとかシールド自作とかだけなら Presto がナニカと使い易いかね。
一寸細かい部品のエフェクターの自作とか修理とかまで考えているなら TQ-95 か一寸高いけど調温タイプの PX-201 か FX-600 がいいかと。

コテ先は BC とか C とかという、円柱を斜めに切ったような先のヤツが熱の伝わりが良くて私には使い易い。円柱の直径が 2mm ぐらいのヤツがギターぐらいには丁度良い。

Amazon
HAKKO Presto
goot TQ-95
HAKKO FX600
HAKKO FX950

ハンダゴテの使い方は、分かってるつもりでも一度 YouTube とかで確っかり確認しておくことをお勧めする。
片付けるときにコテ先にハンダを乗せたままにしろとか、部品にコテや糸ハンダを当てるタイミングとか、部品に乗せとく予備ハンダやコテ先に乗せとく呼びハンダの量とか、自分は初心者を脱したと思っている人でも見落としがちな Know How が実は結構あるので。

糸ハンダ

元々は錫と鉛の合金をハンダと言い、熱で融かして(導電性を確保しつつ)金属同士を固定するのに使われてきたが、今日ではこれと同じ用途のものは錫-鉛合金じゃなくてもハンダと呼ばれる。
また、それを糸状に加工したものを糸ハンダと言う。
糸状じゃなくて棒状に加工した棒ハンダやペースト状のハンダペーストとかもある。
フラックス(乃至ロジン、ヤニ)という、ハンダ付け対象物の酸化皮膜や汚れを取り除きつつハンダの流動性を高め、対象物へのハンダの流れ込みや金属への付き易さ(濡れ性と言う)を良くするモノがあるのだけれど、糸ハンダにはこのフラックスが入ってるヤツと入ってないヤツがある。
電子部品界隈では単純にハンダと言うと、大体はフラックス入り糸ハンダを指す。
板金用とかではフラックス無しがよく使われる。
個人向けでは goot、HOZAN 辺りが有名かね。
業務用とかなら千住金属、石川金属、日本アルミットとか色々。

RoHS 指令、鉛フリーハンダ

EU の有害物質使用規制である「RoHS 指令」に対応したハンダと、昔ながらの鉛を含んだハンダとがある。
鉛入りハンダの中でも Sn(錫)63%、Pb(鉛)37%のもの(60:40も含めることもある)を特に共晶ハンダと呼んでいる。
共晶についての科学的なの説明は Wikipedia でも見てもらうとして、共晶ハンダと言った場合、簡単に言うと、或一定の温度を超えると急激にシャバシャバの液体になる、温度が上下してもドロッとした半融解の状態にほぼならないハンダ、というぐらいの意味で使われる。
何の説明も無しに「共晶ハンダ」と言ったときは多くの場合、Sn-Pb 共晶ハンダを指す。
融点は Sn-Pb 共晶ハンダの場合、183℃ぐらい。
昔から電子部品のハンダ付けではSn:Pb=63:37 もしくは 60:40 のハンダが使われてきた。
でも、コレ鉛含んでますやん?破棄された電子基板とかが酸性雨とかで侵食されて土壌に流れて川に流れて海に流れて、そういうのが回り回って人間の口に入ったりする訳ですやん?ソレよくなくない?よくなくなくなくなくなくない?ってことで、EU で、ハンダに鉛使うの止めましょう、あと鉛入りハンダを使った製品の輸入も禁止な、となったのが RoHS 指令(の一部)。
で、その RoHS 指令に対応する為に世の中に出回るようになったハンダが鉛フリーハンダ、ということになる。
日本で EU 向けに製品を作ってた会社とか、その会社に部品を納めている会社とかも製品に鉛入りハンダを段々使わないようになっていって、今日では日本で製造される工業製品は一部を除いて大体は RoHS 指令対応のハンダを使っている。
けど日本国内では特に鉛入りハンダの使用に対して規制は無いし、現状鉛フリーハンダより鉛入りハンダの方が安いし、あと鉛入りの方が融点低くて使い易いので、日本では普通に今でも個人のホビーとか一部の業種では鉛入りハンダを使ってる人も多いし、普通に売ってる。

組成

鉛フリーハンダと言えば、Sn96.5%-Ag3%-Cu0.5% の組成がメインかと思われる。
そこから低価格化で Ag の比率を0.3%まで減らしたものがあったり Sn99.3%-Cu0.7% とかがあったり少量の Bi とか In とかを加えて低融点化しかたりしたバリエーションが色々とある。
普通の店売りで個人が使う程度の量が買えるモノとしては、Sn96.5-Ag3-Cu0.5 の他に Sn99-Ag0.3-Cu0.7、Sn99.3-Cu0.7・・・ぐらいか。
昔はニッケル入りとかも一般消費者用で売ってたと思うんだけど、最近は見なくなった。
Ag3 タイプが一番融点低くて、217-219℃。
単純な機械的強度は鉛入りより上。(これは例えば衝撃や振動が加わっても部品がより外れ難い、ということを直接意味するものではない)
Ag0.3 タイプが融点 217-226℃ で若干ドロっとし易い感じ、銀無しが 227℃ だけど半融解状態が無くて銅への侵食(銅食われ)も少ないけど若干固い印象、という感じかね。
銀の割合が下がるに応じて値段が安くなる。

あと「銀入りハンダ」と言った場合、鉛フリーの場合もあれば鉛フリーでない場合もある。
組成に銀が入っていればそれは銀入りハンダである。
鉛フリーや RoHS 指令とは無関係の概念なので注意。

因みに融点は組成で決まる。
同じ組成で低融点を謳っている製品があるとすれば、組成か融点のどちらかが嘘であるか、或は単に他の高融点ハンダよりは低いと当たり前の事を言って消費者が誤解するのを待っているかである。
Amazon なんかで「低融点」を謳っている安いハンダは、このタイプのもの。まあ詐欺ですな。
電子部品界隈で低融点ハンダと言うと、普通は Sn-Pb 共晶ハンダ並かそれ以上に融点が低いハンダを指す。
コレは Bi とか In なんかがフンダンに使われていたりして基本的にはめっちゃ高い。

銅食われ

ハンダ付けするときに高温で融けたハンダに銅が溶け出してしまうことを言う。
銅食われに因って、例えばケーブルの銅が痩せてしまって強度が落ちたり、基板のパッド(ハンダ付けする部分)が溶けて薄くなったり穴が空いたりしてしまったりする、という問題が起こる。
鉛フリーハンダは鉛入り共晶ハンダと比べて、同じ温度であっても銅食われが大きくなる。
また銅食われは温度が高い程大きくなるので、融点の高い鉛フリーハンダはその点でも銅食われには不利。
但しギターとかで使うデカい部品の場合は、正しい道具と技術でハンダ付けするのであれば、まあ問題無いと言っていいと思う。
銅部分の薄い表面実装基板とかで部品の交換を繰り返したりシビアな強度が要求されたりする場合は気を付けなければならない、ぐらいの感じ。
然し技術的に慣れないうちは、銅の部分を必要以上に加熱してしまうこともあるだろう。
「銅は融けたハンダに溶け出す」ということは頭に入れておいた方が良い。
ギターだと、細いケーブルに長時間高熱量のハンダゴテを当て続けてしまうとケーブルの銅が溶けて強度が落ちて断線し易くなる、ということはあり得る。
例えばポットの背に GND線 をハンダ付けするとき、ポットの背のハンダを融かしてからGND線 を取り付けるのではなく、ポットの背に GND線 をハンダゴテで押え付けて加熱する、みたいな横着をすると、GND線 の銅が食われて強度が落ちる訳だ。

あとハンダゴテのコテ先の寿命が銅食われで短くなるけど、めっちゃ高温で使い続けるとか仕事でずっと使い続けるのでなければ問題にはならない程度かと。
最悪コテ先の交換部品もまあそんなには高くないし。数百円レベル。

ハンダ付け初心者がコテ先を悪くする原因の多くは銅食われというよりは、コテ先にハンダを乗せておかずに拭ってしまって「キレイ」な状態で放置するとか、コテ先に樹脂(ケーブルの被覆とか)を当ててしまうとかだと思う。

鉛入りか鉛フリーか

つうことで、どのハンダを使うべきか、というトコよ。

先ず、鉛入りか鉛フリーか。
因みに基本的には、鉛入りと鉛フリーのどちらか一方を選ばなければならない。
少なくとも、コテ先は鉛入り用と鉛フリー用のそれぞれ別々に用意せねばならない。
鉛フリーハンダと鉛が混ざってしまうと、ハンダ合金に融点の異なる組成の層ができてしまったりして、そのときはハンダ付けできてるように見えても後々ハンダが剥がれたり割れたりすることがあって、接合の信頼性が下がってしまう。

鉛入り共晶ハンダの方がハンダ付けはやり易い。安いし。
機械強度は鉛フリー Ag3% に若干劣るものの、融点が 30-40℃ ぐらい低いのでその分ハンダゴテの温度を下げれるし、そうするとハンダ付け対象物への負担も少なくなる。
半融解状態が殆ど無くサッと融けて濡れ性も良くて銅食われも少ない。
初心者の技術力であれば、鉛入り共晶ハンダの方が信頼性の高いハンダ付けができるように思える。

然し私は鉛フリー Ag3% のものを使っている。
そもそも既に鉛フリーに慣れてしまっているし、鉛フリーハンダに使われているフラックスやハンダゴテの進歩やハンダ付け対象物である部品の方の対応もあって、今日では鉛フリーハンダのハンダ付けが難しいとか信頼性に欠けるということは余りなくなってきている。
少なくとも 10-20年 ぐらい前に言われていた鉛フリーハンダのハンダ付けの難しさは今日では余り当て嵌まらなかったりする。
また今日における工業製品の殆どが鉛フリーなんで、何かを修理したり改造したりすることもあるし、今更鉛入りハンダ自身と鉛入り用のコテ先を用意して更にコテ先交換の手間を掛けてまで鉛入りを使いたいと思える程、鉛入りに魅力が無い。
ギターでも、少なくともヨーロッパへの輸出があるような名のある企業とか工場が作ってるギターは鉛フリーを使っているだろうと思われる。多分。
日本-北米市場用とかでわざわざ鉛入りを用意したりはしないと思う。多分。
EUへの輸出が無いような日本の小さい工房とかは(私には奇妙に見えるが)逆に拘って Kester44 みたいな鉛入りを使っているところはあるかも知れないが・・・。
私的には、環境についてもまあ考えないではないのだが、どちらかというと時流に逆行してまで今日において敢えて鉛入りを使う積極的な理由が無いということが大きいか。

但、鉛フリーはやっぱ融点が高いというところが一番のネックになるかね。
融点 30-40℃ の差というのは、実際のところ、作業の感覚も結構違ってくる。
温度の上がり難いハンダゴテしか持っていないとか、コテ先が熱伝導の悪い形状のものしかないとかだと、融点の低い共晶ハンダを使わざるを得ないかも知れない。
あと対象物の方へのダメージは温度が高くなる分やっぱ共晶ハンダに比べると多少は大きくなりがち。
特に耐熱性の低い被覆の電線を熱容量のデカい部品に取り付けるようなときが鬱陶しかったりするので、そういうときは私は可能な限り被覆が高耐熱の電線を使うようにしている。
まあ慣れればどうということはないけど。

ということで、自分の持っているハンダゴテと相談して決めるのがいいと思うけれど、もし今からハンダ付けを始めたいという人には私は鉛フリーを勧める。

ハンダの音

音に関して言えば、基本的に、余程変な仕方でハンダ付けしているのでなければ、特にギターぐらいシンプルな構造では、ハンダで音が変わることは無い。
GHz帯とかで大量の部品点数かつめっちゃピーキーな設計の基板の話をするなら別だけれど(つうかハンダで何かが変わるぐらいなら部品の個体差だけで動かなくなったりするだろうけど)、ギターぐらいのハンダ付け点数ではハンダを変えたところで正常なハンダ付けができている限りでは音は変わらない。

一つには電気信号がハンダを介す距離は実際に非常に短く、また普通はそうなるような状態でハンダ付けする。
ハンダ付け箇所毎に 1cm ぐらいハンダを盛って、更にその上に対象物をハンダ付けするならまだしも、普通は対象物同士をほぼ接触させた状態ではんだ付けする。
つうかこの状態でハンダで音が変わるのが判るならギター内(とエフェクターやアンプ内も含め)のケーブルの長さを 1mm 単位ぐらいで「調整」する方がまだ健康的に思える。

もう一つには、そもそもハンダの組成による電気的物性の差は死ぬ程少ない。
ハンダの組成の差が音として判ってしまうなら、その差よりもギター内に使用されているボリューム等の部品について、同じメーカーの同じ型番の部品の間での個体差の方がヨッポド大きいので、同じ部品を大量に買ってきて一つづつ交換していってベストの組み合わせを探る方がまだ健全と言える。
確かにパッシブのハイインピーダンスのエレキギターは近年のちゃんと設計された音響機器なんかに比べて寄生する静電容量等に敏感であることは確かだけれども(そしてここに疑似科学の入り込む隙があるのだけれども)、使ってるハンダの組成で違いが現れる程ではない。

因みに一般的なギターのポットで言うと、同じ型番の製品における抵抗値の個体差が大体 ±20% とかで残量抵抗 数十Ω、酷いと 数kΩ とか。
500kΩ として売られているモノが実測値 400-600kΩ であり得る。
残量抵抗も 個体A では 10Ω、個体B では 20Ω とか普通。
私お好みの東京コスモスの通信用でも抵抗値の許容誤差 ±10% で最大残留抵抗 3Ω とか。
固定抵抗でも、1/4W 金属皮膜抵抗で抵抗値の許容誤差 ±1% とか、超精密品でも ±0.1% 程度、普通のチップ抵抗だと ±2-5% ぐらいか。
ハンダだと 1cm 盛ったとしても精々 μΩ 単位。

但し組成やメーカーや製品に拠ってハンダ付けのし易さは変わるので(フラックスが違ったりするので)、技術と知識が無い人にとっては、ちゃんとハンダ付けできたかどうかで音が変わる、ということはあり得る。
元々ちゃんとハンダ付けできていたギターを、ハンダを変えて再びちゃんとハンダ付けしたとして、それで音が変わったと感じたなら、高い金を払った所為でそう感じただけだと思った方がいい。
或は二重盲検試験でもやって実際に変わったということが判明したとしたら、それは寧ろハンダ付けの基礎的な技術の方を疑うべき。
誰か金の余ってる人が 1000回 ぐらい二重盲検試験でもやってくれないものか。実験の設計がちょいムズそうだけど。

まあぶっちゃけ多少ハンダ付けの腕が悪くても、音に関して言うなら、ギターぐらいだったら殆ど判らんと思うけどな。
因みに私は、昔ハンダを山盛りに盛った場合と普通の量のハンダの場合で試してみて違いを聞き分けることができなかった。
実際にやってみるといい。

今日ではネット上にハンダ付け技術の教材は幾らでも手に入るので、YouTube でも何でも使って調べて正しいハンダ付けができるようになろう。
ギター程度なら特別難しいハンダ付け技術を習得する必要は無いので、ネットで拾える程度の知識さえあれば誰でも正しいハンダ付けができる。多分。
例えば「ハンダの比較」とかで平気で鉛フリーと鉛ありとを同じコテ先と同じ部品を使い回すような愚を犯さないで済むようにしよう。
音の為というよりも、安定した信頼性の高い演奏環境の為に。

基本的にプレミアムなハンダを高音質だのどうのと言って売りつけようとしてくる音響屋は、顧客の無知を頼みにしているのだ。
但し、高いお金を払ったという事実を頼みにして、自分のギター(というか自分自身)がより良い、より次元の高い存在になったと思いたい人は相当数居わすので、もし自分がそうでないのならそういう製品はそういう人達に譲ってあげよう。
まあ私自身がそうではないかと言われると、確かに多少はそういう面も持ち合わせてはいるのだけれども。

この辺の話は(好意的に捉えるなら)寧ろ呪術に属するもので、実際に音が変化するというよりも、演奏者を高揚させて良い演奏を引き出す為のものと考えるべきだろう。
まあハッキリ詐欺と言ってしまってもいいとも思うけれども。
或は音とは主観的体験であると言ってしまっても、只それはコトの一面だけしか見ていないというだけで間違ったことを言っている訳ではないので、音が変わって聞こえるなら、それこそが音が変わったという現象であると言い放っても了見が狭いというだけで間違いという訳ではないのかも知れない。
ほら、政治論争とか言いながら垂れ流されるのは大体いつもこの論法ですやん?

どちらかというと、自分の持ってるハンダゴテでちゃんと正しくハンダ付けできるのか、ハンダ付けした後経年で外れたりしないか、といったことを基準にハンダを選ぶべきだと私は思うけれども。

太さについて

ハンダの太さは、ギターでは 1.0mm がオススメ。
ギターからアンプからスルーホール基板ぐらいまでは 1.0mm が使い易い。
ギター専用であれば 1.2mm とかでも構わないが、1.6mm までいくと太過ぎる感じか。
太過ぎると細かいトコのハンダ付けの難易度が増すし融け難く感じられるし、逆に細いと一回に融かすべき量に相当するハンダの長さが長くなってソレはソレで使い難い。
エフェクターの改造とかで細かい表面実装部品をイジる必要が出てきたら、それ用に細いのをまた買えばいい。

付属フラックス

あとフラックス。
ハンダ付け対象物の表面の酸化皮膜を取り除いて洗浄したりハンダの表面張力を下げてハンダの広がりを助けたりして、ハンダ付けし易さを向上させるモノ。
電子部品用の糸ハンダを買うと、糸ハンダの中にこのフラックスなるモノが入っている。

基本、ハンダ自身の組成が同じであればメーカーが違っても同一の物質として見るべきだ。
同じ組成でも製品になった時点での結晶構造の違いとかはあるかも知れないが、でも結局一回融かしますやん?
或は組成表には表れない微量の意図しない不純物とかは、まああるだろうけど。

けど同じ組成でもハンダ付けのし易さとか人体への害とかハンダ付け後の処理とかはフラックスで変わってくるし、メーカー側もそこは差別化のポイントなんじゃないかと思う。知らんけど。
ハンダの発展史の中ではフラックスの発展が一番ホットかね。「日進月歩」と言える程の体感速度は無いけれども。

ハンダ付けのし易さは、鉛フリー黎明期に比べると雲泥の差と言っていいと思う。
私も使いさしの古い鉛フリーのハンダが未だ残っているけれど、勿体無いからといっても流石に今それを使いたいとは思わない・・・。

人体への影響だけど、ハンダゴテで熱せられたフラックスが煙となるんだけど、対策をしなければそれを結構吸ってしまう。
無対策で一日中ハンダ付けをやってたら鼻の奥が痛くなったりする。
安全性の面では SDS(安全性データシート)に簡単にアクセスできればいいんだけれど、日本の有名所メーカーでも SDS のダウンロードに会員登録が必要だったりして狂っている。
なんでお前んトコとお前んトコが使ことる Web屋 のモラルやらセキュリティ能力等々をこっちが信じなアカンねん、っちゅう話ですわ。
けど goot は SDS が会員登録無しでダウンロードできるようになっている。
まあ SDS にアクセスできなかったとしても、基本的にはどれでも「直で煙を吸うな」「換気しろ」ってことは書かれていると思う。

「ハロゲンフリー」のフラックスであれば、基板上のフラックス残滓とか使い切らないで捨てたりして、ゴミ焼却場とかで焼却するときにダイオキシン類の発生を抑制でき、環境負荷的にはマシになる。
が、煙を吸うことに関しては、ハロゲン以外にも体に悪いものは入ってるので、ハロゲンフリーなら煙を吸ってもいいということではない。
一般的に言って、ハロゲンフリーのフラックスはそうでないものに比べて活性度が低く、濡れ性が下がってハンダ付け難易度が若干上がるという話だけれども、まあ近年のモノであれば使用感はそんなに大きくは変わらない感じはする。
言われてみればまあ確かに違うかな、ぐらい。

あとフラックスには腐食性があって、その腐食性が高ければハンダ付け後に残留しているフラックスを IPA とかフラックス洗浄液とかで除去しなければならない。
まあしなくたってギターぐらいのデカイ部品なら年単位で放っといても全然使えるんだけど、それでも多少は部品も悪くはなるし多少は銅線が脆くなって断線し易くなったりしてソレはソレで一寸厭。
けどギターってめっちゃフラックス洗浄し難いんよね・・・。
つうことで、腐食性の十分に低い「無洗浄」を謳っているものを使うといい。
キョービの日本の有名所メーカーだったら大体無洗浄タイプだと思うんだけど、たまに違ってビビることがある。

フラックスの煙対策

フラックスの煙への対策としては、直で吸ってしまう前に散らしてしまうといい。
私は PC のファンにACアダプタを繋げたものの吸気側を作業する場所に向けて置いている。
これだけでも煙を普通に吸ってくれるし、匂いも全然違ってくる。
一日中作業し続けても鼻の奥が痛くなったりしない。
なので小さい卓上ファンとかを買って来れば用を足すかと。
或はそれ用の製品が「ハンダ吸煙器」みたいな名前で売ってるので、そういうもので対策するといい。

オススメの糸ハンダ

つうことで、鉛フリー、Ag3% の中ではハロゲンフリーなら goot の SF-N0410 がオススメかね。
45g で、量も使い切り易いし。
ハロゲンフリーじゃない版は SF-A0410。
或は HOZAN HS-304 は 100g だけど 1g あたりの値段が安い。
SDS は会員登録しないと確認できないけど・・・。

コテ台、クリーナー

コテ台

コテ先が熱せられている状態でハンダゴテを机の上に放っておくのは事故の元なので、コテ台は必ず使いましょう。
土台の確っかりしたものを選ぶとコテを挿す度ににコテ台が動いてイラついたり、或はこかしたりして机やら床やら自分の体やらを焼くことがなくていい。
同じ理由でコテ先をチョンと乗せるものではなくて、ちゃんと差し込むタイプのものの方が良い。
ニクロムヒーターのコテは、鉄のコイル状のコテ台を使うと収まりが良い。
一応このタイプのコテ台でセラミックヒーターのものも使えなくはないんだけれど、コテ先がバネのとこに当たってしまったりして、熱も逃げるしなんか一寸イヤ。
セラミックヒーターのコテはそれ用にコテ先がほぼフリーになるタイプのものが売ってるので、どうせ買うならそっちを買うといい。
因みにこっちのタイプのをニクロムヒーターので使うとネジが引っ掛かって入らない場合があるので注意。
つうことで、自分のコテに合ったものを選びましょう。

コテ先クリーナー

ハンダ付け毎にコテ先を拭って余ったハンダとかフラックスを落とす為のヤツ。
大抵コテ台に付いてくる。消耗品。
クリーナーは、スポンジに水を含ませてコテ先を「ジュッ」とするタイプと、金タワシにフラックス塗ったみたいなヤツにコテ先をズボズボするタイプのがある。
金タワシはコテ先の余ったハンダをいい感じに拭って少しだけ残してくれるので、コテ先の酸化が抑えられるのと、コテ先の温度が余り下がらないということがメリット。
スポンジタイプはコテ先のハンダを完全に拭ってしまえる。
キレイになるように見えるのだけれど、拭い切ってしまった状態で放置するとすぐにコテ先が酸化してしまってハンダのノリが悪くなる。
勘違いしている人が多いのだけれども、使った後、拭ってキレイにした後でコテ台に置くのではなくて、一回使ったら拭わずそのままコテ台に置いて、次使う直前に拭って新しいハンダをコテ先に乗せる、という使い方をするのがホントウ。
またスポンジタイプは拭うときにコテ先の温度が下がるのだけれど、これはコテ台に置いておいて温度が上がり過ぎたコテ先を一旦冷まして丁度良い温度でハンダ付けをする、というような使い方をするのに有効。

つうことで、調温タイプとかステーションタイプには金タワシがよさげでそれ以外はスポンジがよさげなんだけど、私はどちらの場合でもスポンジを使っている。
使う前に完全に拭いたい潔癖と、あと慣れの所為。
あとコテ先の好みも影響するかね。
先端の尖ったBタイプだったりすると金タワシが使い易かったりするんだけど、私はCタイプが好きなので。
基板上のハンダをハンダゴテで拭ったりする作業のときも、スポンジの方が使い易いかな。
  
因みにスポンジに穴が空いていないものの場合は、自分で穴を開けるべし。
穴が在ると無いとでは作業性が雲泥の差。
あ、あと急加熱機能付きハンダゴテを使う場合は、スポンジ一択。
何故なら熱容量の大きい場所ではボタンを押して加熱してハンダ付けして、次にコテ先をサッと冷やして他の熱容量の小さい場所をハンダ付けする、みたいなことが割と頻繁にあるから。

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HAKKO FH300-81
goot ST-11
HAKKO No.599B-01
HAKKO 633-01

ツールクリッパー

ハンダ付けする部品とかを一定の状態で保持しておく、カニみたいなヤツ。
シールドを自作するときとか、フォンプラグをハンダ付けすると思うんだけど、手で持ってハンダ付けしたら火傷する。
或は線を何本かまとめてハンダ付けするときとか、手がもう 2-3本 欲しくなるときがある。
そういうときに使うヤツ。
コレ一個あるだけで、作業性がダンチなので、必携。

ヒートクリップ

アルミのクリップ。
これで挟むとヒートクリップに熱が逃げるのでその部分の熱容量が上がってその先に熱が伝わり難くなる。
熱に弱い部品をハンダ付けしたりする用。
あと細かい部品をハンダ付けするときとかにコレでペッと掴んでおくと転がっていかなくなるので、あると割と便利。

ハンダ吸引器、ハンダ吸い取り線

ハンダ付けされた部品を外した後、残ったハンダを除去して次のハンダ付けをし易くする為のもの。
それぞれ一長一短あるので、両方あった方がいいけれど、どちらか一方だけを選ぶならハンダ吸い取り線の方が安価。
けどギターだけならハンダ吸引器の方が使うかね。

ハンダ吸引器は、スッポンとも言い、ボタンを押すと融けたハンダを空気ごとスポッと吸うというモノ。
ギターで使うなら大きめのモノを選ぶといい。
私は goot の一番でかい GS-100 を主に使ってるけど、コレで小さい方は 2.54mm ピッチの蛇目スルーホール基板ぐらいまでなら対応できる。
ギターだとポット裏とかフォンプラグとかのハンダ除去の場合は、こっちの方が一度に吸い取る量も多いしハンダの温度も下がらないので、こういう場合はスッポンが活躍する。

ハンダ吸い取り線は銅の網線にフラックスが混ざっているモノで、この網線に融けたハンダを毛細管現象で染み込ませることで余分なハンダを取り除くモノ。
表面実装基板のランドのハンダ除去をキレイにやらないと不可ない場合とかはコレでないとできない。
太さとかフラックスの違いで色々種類がある。
ギター関係で使うなら 2-2.5mm 程度が使い易いか。
鉛フリーのハンダを使うなら必ず「鉛フリー対応」と記載されているモノを使うこと。
でないとマジで全然吸ってくれないので。
これも私は主に goot のを使ってるかね。

ハンダ吸い取り線は使い方に若干コツが要る感じがする。
ハンダを吸うときに吸い取り線の方にも熱が逃げて行くので、コテ先の熱量とかコテ先に乗せておく呼びハンダの量とか基板のランドや部品の耐熱性とかも踏まえて、その辺考慮して使う必要がある。
あと吸い取り線自体も熱くなることを忘れてはならない。
よくある 1.5m 巻とかの場合は、私は吸い取り線を 20cm ぐらい出して、(ハンダゴテの熱量にも拠るが)先から 3cm ぐらいのところを手で持って使っている。
吸い取るのに時間が掛かってしまって手が熱くなってきそうなら手を後ろにズラす感じ。

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TSK ツールクリッパー goot ヒートクリップ
goot はんだ吸取器 GS-100 goot ハンダ吸い取り線 CP-2515

フラックス

糸ハンダの中にフラックスが含まれているけれども、更に追いフラックスすることでハンダ付けが楽になったりすることがある。
プラスチックのマニキュア瓶みたいなのに入っていて、刷毛で塗って使う。
表面実装基板の IC とかだとフラックスが無いと手実装はほぼ不可能だけど、ギター関係だけなら必携という程ではない。
あったらたまに便利なことがある、ぐらいかね。
これも無洗浄のハロゲンフリー品がいいんじゃないかね。
私はハロゲンフリーではないけれども HOZAN の H-722 をよく使う。無洗浄タイプ。

一応ペーストタイプのがあって、海外ではよく使われてるし流れなくて便利は便利なんだけど、無洗浄でなかったりヤバい匂いがしたり高かったりで使わなくなった。
最近のはどうか分からないけど、でも多分無洗浄ってことはないんじゃなかね?知らんけど。

あと板金用のがあるけど、文字通り板金用なので活性が高過ぎたり残滓が悪さしたりするので、電子部品には使わないように。

フラックスクリーナー

これも必ず必要という訳ではない。あったらたまに便利なことがある、ぐらいのヤツ。
無洗浄タイプでないフラックスを含むハンダを使うなら、作業後にフラックスを除去する必要がある。
或は無清浄タイプでも、フラックスが焦げたりしたのが残ってるとベトついたりして嫌な場合は除去してもいい。
あとハンダ吸い取り線でハンダ吸い取った後って焦げたフラックスでめっちゃ汚くなって次のハンダが乗らなくなったりするので、こういうときにもフラックスクリーナーを使う。
基板上の部品を交換するときとかによく使うかね。
サンハヤトの FL-500 を気に入っているんだけれど、500ml 入で個人で使うには多過ぎるよね・・・。
同じサンハヤトの FL-15 が 15ml のマニキュア瓶タイプなんだけど、中身が FL-500 と一緒かどうか分からなくて、私は買ったことない。
一応 IPA とかで代用できるという話なんだけど、断然 FL-500 の方がよく落ちる。
他にもシール剥がしとかマジックのインク落としとかにもつかえるので・・・でも 500ml は多いやんね・・・。

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HOZAN H-722
サンハヤト FL-500

テスター

テスターは要るよ。
無いとハンダ付けできない、というモノではないけれど。
あとギターではほぼ通電確認ぐらいしか使わないかも知れないけど。
たまに抵抗値を計ったりするぐらいかね。
なので最初は安い簡単なものでいいと思う。
ギターぐらいなら精度も要らないし。
自作エフェクターでも作るとなると、一寸マシなのが欲しくなってくるかも知れない。
つうか自作エフェクターとかに手を出し始めるとオシロスコープとか欲しくなるかも知れないけど。

ケーブルストリッパー

ケーブルの被覆剥きをするヤツ。
普通のニッパーで剥いてもいいんだけど、コレ一本持っとくと作業性がダンチ。
一番お手軽なのは Vessel の No.3500E-2 とかかね。
ハサミの刃に穴がいっぱい空いていて、銅線を残して被覆だけ切るタイプのヤツ。
1回 で 1本 しか切れないので、100本 以上とか大量にケーブルを作らなければならないときはやってられないけれども、数本であればコレがパッと使えて早いし切り口がキレイだし硬い被覆もスパッと切れるし最適。
大量にやるなら Weidmüller の STRIPAX が最強だけど、めっちゃ高いので Engineer の PA-30 ぐらいが丁度良いかと。
ゴジラを横から見た図みたいな形のヤツ。
被覆を引きちぎるタイプの細線対応のもの、かつ何本かまとめて被覆が向ける、刃がフラットなタイプのヤツ。
同じ形のものが大量に存在するけど、PA-30 は元の Elecontrol のライセンス品で、一応日本で手に入るものの中ではちゃんとしたヤツだと思う。
引きちぎりタイプで、コレよりゴツいタイプの、例えば Engineer でいうと PAW-01 とかだと、一応 AWG30(細い線)までイケるとか書いてるけどイケるってだけでデカいし重いし固いし細かい調整やり難いし逆にしんどかったり時間掛かったりするので、アレは電源系とかの太線用ですな。

つうことで、オススメは Vessel の No.3500E-2 かね。
大量にやるなら PA-30。

シールドケーブルの外の被覆は、一応専用道具は存在するけれどマトモなヤツはめっちゃ高いので、カッターか電工ナイフで OK・・・と思ったら最近は各社から色々出てたわ。
コレも Weidmüller のが良いと思うけど高いんで、仕事で大量にやる人以外にはなかなか勧め辛い・・・。
被覆を 30cm 以上キレイに剥かないと不可ない場合とかだと、あると便利。
ロブテックスも昔からあった気がするしそんなには高くないけど私は使ったことが無い。

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Vessel No.3500E-2
Engineer PA-30

ニッパー

電線用に小さめのマトモなニッパーがあれば便利。
日本のブランドのが安くもモノもちゃんとしてていいでしょう。
1,000-2,000円 程度の、電線用の鉄(鋼)のニッパー。
110-130mm ぐらいで刃に厚みのあるヤツが耐久性もあって良いかと。
プラスチック用のを電線で使うと一発で刃が欠けたりするので、どんなに切れ味が良さそうでもちゃんと電線用を買うこと。
あとこのクラスのニッパーで弦を切ると矢張り刃が悪くなるので、弦を切るなら弦を切る用のニッパーを別途用意しましょう。
弦切る用は「強力ニッパー」ってタイプのがオススメ。

ラジオペンチ

ギター関係で言えばラジペンで繊細な作業することは余り無いので100均のとかでも事足りるっちゃあ事足りる。
でもピンセットタイプのラジペンを 1本 持っとくと、ギターのコントロール部とかで狭いところのハンダ付けをやるときに便利。
一応スルーホール基板ぐらいの部品の小ささまでならピンセットタイプのラジペンが活躍する。
或は普通にピンセットでやるとか。
ギターぐらいだと逆作用ピンセット(つまむと開く)が便利だけど、狭いとこで挟んで力を掛けて捻るといったようなことはピンセットタイプのラジペンでないとできない。
まあ一長一短ですな。
因みに表面実装の 1005サイズ 抵抗とかを手実装でハンダ付けするなら先端高精度タイプのピンセットでないと死にそうになるのだけれど、先端高精度で更に逆作用ピンセットとなるとめっちゃ高いので、私はそういうときは普通のつまむと閉じるピンセットを使ってる。

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Engineer マイクロニッパー NS-03
KEIBA マイクロヤットコ MY-636
Engineer 鉄腕ピンセット PT-17
HOZAN 逆作用ピンセット P-89

2021/04/05

ライウィスキー

ウィスキーが高ぇ。

私は酒は余り呑まないので、一寸はマシな酒を買ったとしても、年間で考えるなら酒に消える金も酒呑みの家計に比べればタカが知れていると言っていいと思う。
スコッチを主に呑むんだけれども、たまにバーボンの気分になって、以前はブラントンをよく買ってたんだけど。
ブラントン、今 8,000円 ぐらいするのな。
昔は安いとこで買って 3,500円 ぐらいの感じだったんだけど、2-3年前ぐらいに買ったときは慥か 5,000円 ぐらいになってて「高ぇなあ」と思ってたんだけど。
8,000円 て。高くなって買えなくなったでお馴染みのマッカラン12年の方が安いやん。
他の甘くてシットリ系のバーボンも、ブラントン程ではないにしても値上がり傾向。
ううむ。
正直 3,500円 も出したら神の味がするソーマが買えてお釣りが来たような時代の感覚が抜け切ってないので、ウィスキー 1本 に 3,500円 出すってのは、今日においても私にとっては奮発する部類に入るのだ・・・。

つうことで、バーボンから目先を変えてライウィスキーでなんかええのんないかいやと思ったけど、ライウィスキーもめっちゃ高くなってる・・・。
エズラブルックスのライ版が 2,500円 ぐらいで、値段的に買えそうなのがこれかジムビームのライ版ぐらいだったので、呑んだことないけどしゃあなしで買って帰る。

アメリカンはロックグラスと決めている。
注いで舐めてみる。
ううむ・・・まあバーボンやね。
ボディ控えめ、ちょいドライかつ若干甘め、ぐらいの感じ。
ライっぽさはあるけど、あんまし強く出てない感じ。
一口呑んで「あ、これライウィスキーですやん」とはならんかな。
ワイルドターキー8年とかの方がまだライを感じたような気がする。
普通のバーボンと言われて出されても私なら気付かん自信ある。
まあ私の舌だとブレンデットのスコッチと言われて納得する可能性もあるけど。

呑み易いし悪くないけど、イマイチ決め手に欠ける感じ。
ゴリゴリのバーボンでもゴリゴリのライウィスキーでもない感じ。
普段スコッチ呑んで、ちょい他のをってときにわざわざコレを選ぶかと考えると、まあ選ばんかな。
このどっちつかずさがカクテルベースには良さげなので、ニューヨークにでもするか。

加水していくと甘さが目立ってくるけどトゥワイスアップまで行くと何の味もしなくなる。
味の傾向としては、「夏場のハイボールにピッタリ」と謂われる系のウィスキーと似た感じだと思うけど、私はハイボールをあんまり飲まないのでよく判らない。

つうことで、次からは素直に甘バニラ系のを探すか。
バッファロートレースとか、或はちょいライ感のあるオールドグランダッド辺りなら今のところはそんなには高騰してないし。
でもブラントンからするとちょい落ちる感じはするんよな・・・。