2018/04/04

花見、また或意味での花見

花見をした。
花見のベストのタイミングで花見ができる年も久しぶりであったことだし。

昨年までは花粉症もそこそこ治まっていて、薬無しだとたまに突発的に洟が垂れるようなときがある、という程度だったと記憶している。
突発的に来たときだけ薬を咽めばよかった。
でも今年はなんかずっと駄目だ。
薬も効かないことがある。症状が出てからだと尚更効かない。
1種類では効かないことも多く、予防的にセチリジンとアゼラスチンを両方咽んどけばまあ悪くてもそんなに酷くはならない、という感じ。
セチリジンもアゼラスチンも、私には多くの場合緩やかに効くのだが、どちらもたまに効き過ぎるタイミングがあって、一瞬、何かのゾーンに入ったみたいに眠気に襲われることがある。

鼻うがいもしてみたのだが、副鼻腔に何か悪いものでも流れてしまったのか、鼻から上、顔面の1cm内側から奥が熱く、重く、痛くなる。
完全に裏目。
なんか以前もこんなことあったな。
即ち、イブプロフェンと辛夷清肺湯が追加される訳ですな。

つうことで、Amazon Prime Videoを朝方まで観続けた後少し寝てから、コーヒーガブ飲みして、セチリジンとアゼラスチンとイブプロフェンと辛夷清肺湯をキメて、万全とも最悪ともつかない状態で花見へ出かける。

側に立つ桜に特に目を向けるでもなく、安くてまあまあ美味くてアルコール感皆無でお馴染みのミード(Katlenburger)を持って行ってチビチビやってたのだけれど、思ったより酔いの進みが早い気がする。
瓶の中身が半分ぐらい減ったところで唐突に酷く酔ったような気分になってくる。
吐くか?否吐く程ではないな、とか思いながら1分程凝っと堪らえていると、とても不快な気分になり、私の中の何者かが私の意識を飛ばそうとし始める。
更に堪らえていると、視界がギラつき始め、世界が画期的な色になり、とても醜いあの子を更にグッと醜くし、脂汗が吹き出してきた。
ゾーンに入る。
視覚がデモザイクする前のイメージセンサのRawデータみたいな、或はHDRのハローを敢えて使ったような映像を映し出す。
5分程、トびそうになるのを堪らえつつ視覚の異常を観察して「網膜の生データももしかしたらこういうふうなのかも知れない、然し生データとは何を指すのか」などと考えていると少し落ち着いてきたので、更に10分程横になっていると、回復した。

何がこれを引き起こしたのかは判らない。酒を呑むのに薬を咽み過ぎたのか、或はここに記していない私の生活上における他の何かだったのか、まあ恐らくは複合的な原因なんだろうけれど。
(セチリジンとアゼラスチンとイブプロフェンとアルコールはお互いに禁忌という訳ではなかったかと記憶しているが、一般的にアルコールとお薬とは余り素敵な関係にないという話はよく聞く。併しアカデミックに確かなことが知りたければ薬剤師にでも訊いて呉れ給え。私は正しくない。正しくない者の言い分を耳に入れておくのは正しいことではあるが、それを信じるのは単に愚かでしかない。)

酒を呑んでの視覚異常は初めての体験であった。
それで特に悟りを開くでも神の御心に触れるでもなく、私は今まで通り非宗教かフライングスパゲッティモンスター教徒でルネサンス的ロマン主義者で、今まで通り糞みたいにウンコなくだらない人間のままだけれど。
まあ、新しい体験ではあった。二度と御免蒙りたいけれど。
併し宗教的な転機とか、実際にはこういうことに似たような体験がもたらしているんじゃないかと疑いたくなるような体験ではあった。
取り敢えずまあ、死ななくてよかった。死ぬには、機ではなかった。