2017/09/18

シンギュラリティ

未来について予想したり妄想したりすることなど。

シンギュラリティ。
2020-2025年ぐらいまでにAIに端を発するシンギュラリティが起こるという話。
この「シンギュラリティ」の規模や実際の内容は話者に依ってそれぞれではある。
AIにしても汎用AIだったり特化型AIだったり、小型だったり大型だったり個別のデバイスやロボットの中の話だったりインターネット全体を使った話だったりする。

ここでは取り敢えず汎用AIが誕生し、その汎用AIの発達に因って人間や世界の在り方がインターネットの登場に因る変化と同等以上に大きく変わる、ということにしてみよう。
これが一番人気のある説であるように思える。
汎用AIというのは、機能主義的に言うならば、ここでは要するに「人間の心」と我々が呼びたがるものと同様の働きをするものだとしよう。
人間と同じようなインプット機能、特に画像認識機能と自然言語認識機能を持っていて、人間と同じような仕方で考えて判断し、人間と同じような仕方で「創造」する訳だ。
そして更にその汎用AIが「賢く」なっていき、人間は様々な判断等をAIに委ねるようになり、ゆくゆくは国家的な政治判断や社会の在り方についての判断を任されるようになる、という話の道筋。

私としては、先ず、汎用AIがあと数年で出来上がるとは思えない。
現在流行しているAIというのは精々がところディープラーニング方式程度だが、これがそのまま発達して単位コストあたりの演算能力が上がって行ったとしても、それ即ち汎用AIとはならない。
問題は演算能力についての技術的発達スピードにあるのではなく、もう少し質的なものだ。
一つには、人の心の同等品としての「汎用AI」について真っ当なアイディアを持っているAI学者が未だ多くないように思える。
どれが真っ当なアイディアの方向性なのかについての合意も未だ得られていないばかりか、それについて具体的な議論ができる段階ですらない。
ニューラルネットワークやディープラーニングに詳しいということが、即ち人の心の複雑な仕組みや機能について議論に値する真っ当なアイディアを持っているということになる訳ではない。
「高機能で広範囲な性能を持つAI」と、ここで言う限定された意味での「汎用AI」とでは意味も規模もカテゴリーも実現の困難さに大きな隔たりがあるにも拘らず、ディープラーニングがすげー発達したら人の心と同じになって、更に発達して人の心を超える、的なバブリーな楽観主義には少々辟易しないでもない。

但し、特化型AIがその得意分野で人間の判断の有用性を超えていっている、その分野がより重要な分野に広がっていくことは間違いないだろうし、その結果幾つかの重要な分野で人間が少なくとも道具的には特化型AIに判断を委ねるようになるという意見には同意する。それがいつになるかはさておくとして。
そしてそうなれば、色々な特化型AIを束ねるアルゴリズムやAI、つまり「高機能で広範囲な性能を持つAI」は、2025年までに生活に馴染むようになるということは想像できる。
シンギュラリティが起こるとすれば、汎用AIではなくこちらの道筋になるだろう。が、それシンギュラリティと呼べる規模になるのは2025年よりもっと後のように思える。
それがシンギュラリティとなり得るには、技術的にというよりも現行の社会の仕組み、特に経済-商業の在り方がネックになってきそうである。

私の意見としては、AI利用は広がるけど人が騒いでいる程のことでもなく、まあ暫くはシンギュラリティとかいう程のことは起こらないんじゃね?という感じ。
多分、ヘタすると、普通の生活の体感レベルでは、高性能な画像解析と言語認識ができるようになってそのアプリケーションが増え、翻訳精度が多少上がり、ゲームがよりリアルになったりして、そして次のAI技術が出てくるまでその辺で一旦収束する感じじゃね?
自動運転車ですら、2025年の時点でやっと新車の全てに搭載されるとかぐらいじゃね?
無人トラックとか無人タクシーとかできるようになれば、交通網を利用した安価なアレコレができて面白そうなのだけれども、現在電車ですら殆どが有人であることを思い出すと、実現はいつになることやら。
つうかそれまで私生きてんのか?
ルフィは海賊王になってんのか?

最近流行りのAIには実はそんなにワクワクしていない。
基本の考え方自体は私の小さい時分から慣れ親しんだものだし。
それが研究レベルではなく市場レベルの話になってきたのだ。
AIがちゃんと金になるようになったのだ。
然し技術的にあともう何山か乗り越えれば面白くなりそうだ。
文字列入力だけでめっちゃ自然で表情豊かな、声優の仕事を奪うレベルの人声生成AIとか、プログラマの仕事を奪うレベルのプログラム生成AIとか、その辺の強力なのが安価に利用できるようになれば面白いのだけれども。
文字入力だけで声優の仕事を奪うレベルのAIとなると、言語の意味や状況等の「理解」が関わってくるので、ほぼ汎用AIと呼べるかも知れん。
プログラム生成AIは、普通に適当なコード吐かせてもいいけど、まあ基本的に自己再記述型AIみたいな方向へ発展するんやろうなあ。

FPGAがさあ。
これも昔からあるんだけれど、最近はよっぽど数作るのでなければASIC作るより安くなったりしますやん?
性能も良いし。
中身の開発もC++とか高級言語も使えて楽になってきてるし。
マイコンを丸ごと入れれたり。
周辺部を含めた開発コストがもう少し下がってくれば、IoTを牽引するぐらいの感じで流行りそうなんだけれど。

まあIoTも騒がれている程には浸透しないとは思うけれども・・・。
朝、スマホのアラームが鳴って起きるその10分前にコーヒーメーカーが起動して勝手にコーヒーができてる、程度のことすら未だ浸透してないですやん?
技術的には明日作れと言われて明後日の朝にはコーヒー飲めてても不思議ではないという程度のものであるにも拘らず。
まあセキュリティとかプロダクトデザインとかブランディングとか真面目に売ることを考えるともう一寸かかるけど。
Raspberry Piやその近縁種とか、安価で高機能なマイコンとか、既にモノはあるのに一向に生活に浸透してないですやん?
多分IoT用のもう少し踏み込んだ通信規格みたいなのができてこないと、生活に浸透するレベルで流行ってこないのかなあ、と思わないでもない。
或はなんか仕様の決まったプラットフォーム的なモノが要るのかなあ・・・。

人々が今やすげー高性能で高演算能力なスマホで何をしているか、一寸覗いてみるといい。

まあ取り敢えず、次に波が来る技術としては、FPGAなんとちゃうかなあと思う。
あともう少し、周辺的な部分で技術的な突破口が要りそうだけれど。

或はFPGAの内部がリアルタイムで有機的に書き換えられるようになれば、すごい低コストで新しい方式のAIとかできそう。実現するにしてもずっと先の話だと思うけど。
まあそこまで行かないにしても、FPGAとAIって相性が良さそう。
並列処理に強いという部分とかは既に使われているけれど、書き換えも可能ってのがミソになりそう。

ロボット技術。
私の希望としては、人造人間的な意味でのアンドロイドができればいいなあと。
一家に一台ぐらいの値段で。
AIだけでなく、素材や動力や機構やメンテナンス性等の物質的な問題が山積しているけれど。
AIは、ぶっちゃけ汎用AIじゃなくてもっと弱いIAか高級人工無能みたいなのでいいと思うのだけれど。
アンドロイドに求めるのは、見た目とか動きとか、どっちかというと物質的な部分じゃね?
汎用AIに身体を持たせてしまうと、なんか厄介。
道徳的に敬意を以て社会の一員として扱わなければならなくなったりして、ほんなら人間でよろしやん、という話になるし。
人間とかメンドいねん。それ故のアンドロイド。

序でに人間の形をしていないロボットが人間の面倒な仕事を全部やってくれればいいのだけれど。
そして人間が大してやりたくもない労働をしなくても遊んで暮らせるようになればいいのだけれど。
遊んで暮らせるならシンギュラリティでも何でもいいんだけれど、所謂シンギュラリティが私を失職させることはあっても遊んで暮らせるようにはしてくれないんだろうとは思う。
人間、馬鹿だから、仕事が無くなっても、恐らくは明日のオマンマの心配が無くなっても、多分働かされるんだぜ?馬鹿だから。

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台風で昨晩から23時前までずっと、丸一日以上嵐だったが今はパタリと止まっている。
未だ暴風域の中ぐらいの筈なのに。
丁度台風の中心を超えたぐらいから一気に止んだ。
もう一日ぐらい嵐が続くのを覚悟していたのだけれども。