2023/07/16

ギターブリッジサドル素材考:Gibson Les Paul & Fender Telecaster

一般的に言って、ギターの音に不満があるとき、弦の種類やゲージを変えたり弦高を変えたりピックを変えたりピックアップ高さを変えたりピックアップ自体を替えたり・・・と色々できることはあって、それぞれ音の変わるポイントが違う。
例えばピックを変えることで、ピックアップの高さの変化によって引き起こされるギターの音の変化をそのまま再現できる訳ではない。(似た変化を引き起こすことはできることもあるけれども。)
これらのパラメータはお互い複雑に絡まり合っており、或ギター個体で行った調整量から得られた音の変化は、他のギター個体について同じように調整したからといって全く同じ結果が得られるものでもない。
とはいえ、「経験と勘」によって或程度の推測はすることができる程度には似た変化が起こることが多い。
でもアテが外れることもある。
そうやって試行錯誤しながら、自分の思い描く音楽が奏でられるように、ギターの細かいアレやコレやを弄るのは楽しいものである。

色々と音の調整方法はある中で、ブリッジサドルは、弦が直接触れるだけあって、この材質を変えるだけでも意外と出音に影響するもので。
音の根幹が変わるものではないけれども、「あと一寸どうにかならんか」ぐらいは叶えてくれる可能性がある。
それに、ABR-1 の小さなサドルであれ Telecaster の大きな3サドルであれ、或は Stratocaster タイプのサドルであれ、同じサドルの素材に変えると結構似た傾向の音の変化として現れるのも面白い。
サドルの質量だけでなく、比重や剛性や靭性等々のその素材自体が持つ特性も音に影響する要素となっているものと思われる。

まあでも例えば「アルミ」と一口に言っても、A1050 や A5056 等の種類があって、それぞれ特性も割と違うので、恐らくこれも多少は音にも影響するのだろうけれども。
例えば同じブラスサドルで同じ Telecaster 用のものでも Gotoh のものと Montreux のもので、Gotoh のものの方が少し硬度高そうな「ブラス」を使っていて、思いの外音が変わったりする、ということもある。

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Gibson Les Paul。
元々は Gibson ABR-1 でブラスサドル が付いていて音的には気に入ってたんだけど、1弦が切れまくったので、サドルだけブラスの新しいのに交換して溝切りし直そうと思ったけど良い感じのブラスサドルだけが売ってなくて、結局なんやかんやで TonePros の Schaller タイプのに交換してた。
昔は Gibson ABR-1 交換用のブラスサドルが、慥か Schaller 製とかの結構シッカリしたヤツが売ってたと思うんだけど、最近 Gibson ABR-1(インチサイズ)の交換用の良い感じ(値段&クオリティ)のブラスサドルってなんか見当たらないんよね・・・。サドルだけ別売りしてるヤツで。
TonePros のブリッジに交換した当時は Les Paul に 0.011 のセットの弦を主に張っていて、音的にも重くなりがちだったので、元の ABR-1 よりほんの少し音が硬く締まって良くなったか、まあ悪い感じにはならなったので、それなりに気に入って使ってた。

でも最近、Les Paul に 0.009 のセットを貼ることが多くなってきたんよね。
安定して弾き易いのは 0.011 のセットなんだけど、0.009 のセットの方が音的には好み。
音質的な強弱の付き方が、0.011 のセットと 0.009 のセットで、まあそれぞれ特徴があって違ってるんだけど、私は 0.009 のセットの方が好き。
特に6弦を強く弾いたときの暴れる感じは 0.009 のセット(0.042)特有のもので、それが好きなのです。
あとこれまでは 0.011 のセットぐらいの質量がないとボディが鳴ってる感が無かったけど、最近やっと 0.009 のセットでもちゃんと鳴るようになってきたのもある。

でも 0.009 のセットだと、一寸高音弦側の音がシャリッとし過ぎだしもう一寸ミッドにパンチがほしいんだよな・・・となりまして。
テールピースが、元々アルミだったのを亜鉛製に交換してるので、そっちを元に戻すということも考えたのだけど、なんか期待した音にならなさそう。
サドルがブラス製になれば良くなりそうな気がするんだけどな・・・。

ってことで、色々探してたんだけど、なんか良さげな感じのブラスの交換用サドルが売ってなくて。
Schaller タイプのはモチロン、ABR-1 のもやっぱ見つからない。
と思ってたら SCAD がブラスサドルの GE104B 特注品作って売ってた。Amazon に売ってた。
Gotoh の特注品で、GE104B のサドルを溝切り無し(サドルの真ん中に浅い溝がガイド的に切ってある)でメッキ無しブラス(元々は多分亜鉛)にして R を R=300(Gibson でよくある R=305 に近い数値、元々は R=400)にしたヤツ。
ナニコレ私の為のヤツやん。
Gotoh の GE104B は安いしカッチリしててどこかがビビるようなことも無いので、私も昔からちょいちょい買っては自分のギターに載せてたんだけど、サドルの溝が切ってあるのと素材が亜鉛なのが気に入らず、結局使わなくなったりしてたんよね・・・。

因みに一応、サドルだけじゃなくてブリッジごと交換するなら Montreux や本家 Gibson の ABR-1 が買える。ブラスサドルのヤツ。
けど今回はカッチリした Gotoh のヤツで行こうかと。
一寸物珍しさもある。

てことで、買って Les Paul に乗せてみた。
序でにいつも通り、ブリッジポストの穴の横から穴開けてタップ切ってイモネジ入れて、ブリッジポストに固定できるようにして弦高が勝手に変わらないようにしてる。

結果。
音的には・・・まあブッチャケそんなに大きく変わるものではない。知ってた。
そんなに大きく音が変わる訳ではないが、でも高音弦のシャリ感は減って、ミッドが多少出るようになって、狙い通りで大満足。
あとブラスサドルにメッキがしてなくてそこだけ真鍮色なんだけど、まあそんなに違和感無いかな。
まあ他でもニッケルメッキだったりクロームメッキだったり鉄が錆びてたりステンレスだったりしてるしな。

つうことで、Gotoh にはコレを量産して頂いて。

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Fender Telecaster。
American Professional II で、ブリッジは新しいタイプの 3サドルブリッジで、弦をトップロードできるヤツ。
ネジ位置が変わった関係で、昔ながらのタイプのブリッジでやるトップロードよりは弦の折れ曲がり角度が浅くなり、よりトップロードっぽさが出るヤツ。
張る弦にも拠るけど、大体私はトップロードで張ってる。

元々はオクターブ補正済みのブラス製ブリッジが載ってたんだけど、イモネジの位置の関係でなんか良い感じに弦の左右位置が等間隔にできず、Wilkinson タイプのブラスのブリッジに交換してた。
弦は 0.011 のセットを貼ってるんだけど、なんか大人しいんよね・・・。
発音がキレイ過ぎるというか。
もうちょいドンシャリになって欲しい。
そうすると歪ませたときにもっとブリブリするハズ。

ってことで、ハイ、またブリッジ交換です。
Wilkinson タイプの鉄のブリッジを交換した。
以前はこのタイプのものはブラス製しか無かったけど、近年では鉄やアルミ製のが手に入るようになって嬉しい。
ちなみに Telecaster Thinline には現在はアルミのヤツを使ってる。

サドル高さ調整用のイモネジは、鉄の M3x10 のヤツからステンレスの M3x8 のに交換した。
ステンレスなのは錆びてネジが回らなくなったらイヤなのと、8mm にしたは 10mm だと1弦のイモネジが飛び出て怪我しそうだったので。
あと弦の左右位置がブレないように、軽く溝を切っている。

で、結果。
狙い通りよ。
ハイとローの帯域が広がって、ミッドが少し減った感じ。
6弦なんかブリブリよ。
でも1-2弦はブラスでもいいかな?
ブラスの方がドッシリ感はある。
甲乙付け難い。

因みに 0.010 のセット以下のゲージだと多分全ブラスの方が良いような気がする。

ということで、ブリッジは何でもかんでもブラスにすれば良い訳ではないことを学んだ。
ブラス、なんか好きなんだけども。

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Soundhouse
Gotoh GE104B
Gotoh GE104B
Fender 3-Saddle Bridge
Fender 3-Saddle Bridge
MONTREUX Compensated Brass Tele saddle set
MONTREUX Compensated Brass Tele saddle
MONTREUX Compensated Steel Tele saddle set
MONTREUX Compensated Steel Tele saddle