2020/10/12

Steinberger Spirit を使い易くしたい

チョイとスタジオへ、というにも何かと大荷物になりがちな私のこと。
大分前に、Steinberger の現行廉価モデルであるところの Spirit の白黒のダサいヤツがすげー安くなってたので、荷物減らすのに良いわと思って買ったものの、設計として所々使い難いところがあるし、その上で色々と製造上のクオリティが低くて結局殆ど使ってなかった。
でも勿体無いのでどうにか使えるようにならんかと。

まず、Steinberger のギターは、そのままだとダブルボールエンドの専用弦を使わなければならない。
而もその専用弦が高い。
これは Steinberger 純正の「普通の弦が使えるアダプター」みたいなのが 3,000円 ぐらいで売ってるので、それを買ってきて取り付ければ解消できる。
或はサードパーティ製の交換部品で普通弦が使えるようになるものも 1,000円 ぐらいからあるので、それを買ってきてもいい。
私は純正のを付けて、普通の Elixir 弦を張っている。
弦交換に六角レンチが要るようになるのがデメリット。

チューニングはボディエンド側のローレットネジを回してチューニングするんだけれど、これが固いし持ち難いしで、めっちゃチューニングし難くて微妙なチューニングも合わせ難い。
これはローレットネジにM3用の PTFE(テフロン)ワッシャーを挟めば多少マシになるけど、それでもチューニングは一苦労。
指の太い人とか握力の弱い人とかは多分めっちゃ大変だと思う。
PTFE ワッシャーは Monotaro で 12個入り で 450円 ぐらい。
私は廣杉の M3 用、外径7mm、厚み1.0mm のものを使っている。

弦高調整やオクターブチューニングが独特で、めっちゃやり難い。
がんばるしかない。
但し一度調整してしまえば、結構ガッチリ固定できるし、多分勝手に動くことは無さそう。

ボリュームの位置がすげー邪魔。
大体位置的にはストラトのボリューム位置ぐらいなんだけど、私はこの位置にボリュームがあるのがすげー嫌なのです。
而も Steinberger ではストラトよりボリュームノブの高さがあるので、輪を掛けて邪魔。
私は普通のストラトでもボリュームに指が当たるのを嫌って、大体ボリュームをトーンの位置に移設したりするんだけど。
ボリュームを外してトーンの位置に移設する。
トーンは無し。
元々のボリュームが付いてた穴は、穴を広げて Push-ON の押しボタンスイッチを載せて Kill Switch にしている。
因みにポットは私お好みの TOCOS のポットで B1MΩ、1000pF のハイパス付きで、硬めの音質を目指している。

センターのシングルコイルピックアップの出力がめっちゃ弱い所為でピックアップ切替時に変な感じになるし、それを解消しようとしてピックアップの高さを上げるとピッキングに干渉して弾き難くなる。
ピックアップセレクターの配線を変えてしまう。
最初はセンターを外してしまって 3ポジションのテレキャス用のピックアップセレクター付けたらいいわ、と思ってたんだけど、セレクターが載ってるところのボディの板厚が結構ある所為で、セレクターのノブ取り付け位置までの首が長いタイプのセレクターでないと駄目で、そういうタイプの 3ポジションセレクターを探し切らずに、セレクターごと交換というのは諦めた。
つうことで:
1. リア
2. リア+フロント
3. フロント
4. リア+センター+フロント
5. リア+センター
というふうに、センターが単体で鳴ることを避けた配線にした。

色がクソダサい。
アルミ粉顔料のシルバーで塗装したろうと思って塗料を買ったけど、下処理とか面倒臭くなってきたので放置。

ネックがゴン太。
スペックシート上は 60's Slim taper D Shape ってことになってるけど、Gibson の 50's Round Shape より太い感じがする。
Epiphone の Les Paul SL もスペック上は 60's Slim taper D Shape だけど実際握ると太めなんだけど、アレより更に厚みがある。
一寸削ったけどあんまし変わらんかった。
もうちょい大胆に削る必要があったか・・・。

フレットがうんこ。
大体私は1弦の弦高を若干低めの 1.3mm @12フレット ぐらいにしているんだけど、この高さだとビビりまくるし、押さえているフレットより高い音が出たりする。
ちゃんと擦り合わせが全然できていない。
ネックもベコベコだし。
擦り合せする?
と思ったけど、ここはもうフレット交換したれ、と思って、自分でフレット交換に挑戦してみることにした。
以前 Epiphone Casino でフレット交換しようとして上手く行かず、結局知己のリペアマンに泣きついたことがある。
然し今は YouTube もあるしネット上にも情報は山程転がってる。
大丈夫。私なら大丈夫。
まあ元々使ってないギターだったし、失敗してもそんなには惜しくない。
最悪フレットレスギターにすればいい。
ということで、JESCAR のニッケルシルバー #58118(超ジャンボフレット)24本入り を Soundhouse で買ってみたものの、そういや Steinberger は 0フレットがあるので 25本 必要だということにフレット抜き終わってから気付き、追加で 24本入り をもう1パック買う羽目になる。
フレットを抜いて、フレットの溝周りに Loctite の 420(超低粘度瞬間接着剤)を流し込んで固める。
HOSCO の 406R 用のサンディングブロックにサンドペパーを貼り付けてネックが真っ直ぐになるように面出しをする。
めっちゃ削らんといかんかった。
ネックが真っ直ぐになったらフレット溝に残っている樹脂や接着剤をノコギリで掻き出す。
オルファの古い便利のこ(もう売ってない)の刃厚が 0.45mm で丁度良い感じだったので、それを使う。
フレット溝の深さが全部違うし全体的に深過ぎる・・・。これ手作業でやってんのか?
エアダスターで溝に残った削りカスを吹き飛ばす。
ネック塗装も剥がす。
ヒートガンで温めながらスクレーパーでペリペリ捲って行く。
(このときにネックを削った)
フレットを打ち込んで、フレットエンドを強力ニッパーで一旦切れ込みを入れてからペンチでグリグリ曲げて金属疲労で折る。
喰い切りを買ったらよかった。
フレットエンドをヤスリで整えて、指板とフレットにマスキングテープを貼り、ボディも紙とかでマスキングして、以前 ES-339 のネックを補修した時に使って余ってたエポキシをネックに塗って塗装の下地にする。
エポキシを削って整形してラッカー塗装。黒2回、クリア10回ぐらい。
フレットのマスキングテープを剥がして、HOSCO のサンディングブロックにサンドペーパーを貼って擦り合せをする。
思いの外簡単に削れてしまって、超ジャンボフレットが普通のジャンボフレットぐらいになった。
ビビリを避ける為、1弦側の19-24フレット辺りをほんの少し多めに削る。
フレットエンドをキッチリ整形して#600のサンドペーパーで角を均す。
#800-1000ぐらいの耐水ペーパーでフレットのクラウンを出す。
コンパウンドでめっちゃ磨く。
指板とボディのマスキングを剥がし、ネックの塗装も軽く削ったりコンパウンドで磨いたりする。
組み立てて弦を張ってトラスロッドやらを色々と調整して完成。

1弦を 1.3mm ぐらいの弦高にしても普通にビビらない。
1.0mm ぐらいでも、流石に響きは悪くなるけど全然イケる。
フレット交換、結構ちゃんとできたみたい。
0.010 のセットの弦を張って、めっちゃ速弾きできる。
普段は他のギターでは大体 0.011 のセットを貼ってることもあるし、ガチのジャンボフレットが載ってるギターは他には持ってないので、めっちゃ軽い力で弦を押さえられる感じがする。
音も、以前は若干モヤッとしてたけれど、それが結構ハッキリした硬質で粒立った音になって、速く弾いても音程が潰れてしまわず割と聴き取れる。
ジャンボフレット、気に入った。
但、1弦側のフレットエンドを少し多めに削ってしまって、たまに1弦をラフに押さえてプリングしたときにとかに勢い余って弦がフレットの外に行ってしまうことがある。
ちゃんと押さえれば問題無いんだけど・・・。

つうことで、スタジオに持って行こうと思えるぐらいにはなった。

余った23本のフレットは他の安ギターにでも付けよう。
安いギターは、買ったときは良い感じでも耐久性が低い部品が使われてたりするので、フレットも割とすぐ削れてきたりするんよね。
Squier の Duo Sonic のフレットがそろそろ削れて来てるし、Ibanez の S も買ったときからフレットが気に入らなかったし(24フレットあるので1本足らんけど)、Danelectro の Shorthorn もフレットが低めだし・・・。
全部替えちゃう?

あとはストラップの抜けを防ぐ為にストラップピンを Gotoh の EP-B3(でかいストラップピン)の黒に交換しようと思うんだけど、Steinberger はストラップピンが 3個 付いてるのよな。
ボディエンド側に 2個 付いてて、それで床に置いたときとかにバランス取れるようになってる。
でも EP-B3 は2個入りなんよな・・・。
取り敢えず HARRY'S のヤツでも付けとくか。

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Soundhouse
HOSCO TWSB-3
HOSCO TWSB-3
JESCAR #58118
JESCAR #58118
HARRY'S STRAP RUBBER
HARRY'S STRAP RUBBER
GOTOH EP-B3
GOTOH EP-B3

2020/10/11

人事権と国体権威主義

自由民主党は、現在の中国共産党の在り方に強い憧れを抱いている。
国民ではなく党の指導者が国家の理想を策定し実現するべきである、という理念を体現している中国共産党と体現しようとしている自由民主党という関係である。
日本を今の中国のような国にしようとしている。
そう意識しようがせざろうが。

民主主義の基本的な理念としては、国家やその諸権力は(主に法によって)国民の権利や自由や幸福の追求等々を担保する為の力である筈だった。
然し今や、権力は主に権力自身の維持と集中の為に使用されることを良しとしてしまっている。

勿論今までにも権力が権力自身の維持と集中の為に使用されてきたことはあった。
民主主義の基盤への挑戦の歴史である。
最近のマイルストーンとしては、小選挙区制、小泉純一郎内閣、(特に第二次)安倍晋三内閣と菅義偉辺りか。
それまではナイショでバレ難くいようにやってきたことが、第二次安倍晋三内閣-菅義偉官房長官の時代に明確に「良し」とされ白昼堂々と行われるようになってきたように感じられる。

自由民主党は、自分達の理念に反対するような思想や言論を如何にして封殺できるのか、ということについて今までもずっと色々と試みてきた。
党の見解に反対する見解を持っているということが党にバレることのリスクを引き上げることに因って、(今のところの日本では)表面上は「表現の自由」が存在するような風を装いつつも反対意見が出辛い状況を作ることに、特に菅義偉の尽力に因って、次々と成功してきた。
菅義偉のこれまでの実績を考えると、日本学術会議会員の任命拒否は起こるべくして起こったものだ。
それが非常に分かり易かったので、人々の目に留まっただけだ。
でもこんなもんじゃない。こんなもので終わりな筈がない。
そうすることを明確に良しとしていて実際に過去にもそうしてきた人物が総理大臣をしていることを考えると、日本における表現の自由に纏る環境は、今後も更に悪くなっていくのは目に見えている。

信じられないかも知れないけれども、この人達は選挙で選ばれた人達なのだ。
選挙制度に重篤な欠陥があり、それがずっと放置されているとはいえ。
或程度は自分達で選択したことなのだ・・・。

今は未だ、表現の自由を表面的には尊重している風を装ってはいるが、そのうちそれを鼻で嗤っているのを隠さなくなるだろう。
党の見解に反する表現をするつもりなら当然反逆のリスクを負って然るべきだと言い放つ日が来ても、もう誰も驚きはしない。
つうかあいちトリエンナーレにまつわる、折角企画は良いのに芸術や表現の自由の勘所をチョイチョイ外してくる所為でイマイチ応援し切れない人達と勝手に日本人の心を代表して勝手に日本人たる尊厳なるものが脆弱で軟弱なので簡単に傷付くものだと喧伝し回っている人達とその他大勢の外野との泥仕合を見ると、絶望的なことに政令指定都市の市長レベルならもう既に口に出してしまっている人間も複数居ることが分かる。彼らは自由民主党の党員ではないけれども。

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名古屋は、アレはもうどうしようもないけれど、大阪もタイガイやねん・・・。

2020/10/10

スーパーギタリスト

スーパーギタリストが死んだ。

タッピングの生みの親・・・かどうかは議論の余地があるらしいが、少なくとも1つの奏法として成立させ、その可能性を世に知らしめた最初の人ではあった。
Edward Van Halen に因ってタッピングの技術が確立された1978年以降2000年より前には未だ、タッピングという奏法はジャンボフレットが打たれたテクニカル系ギターに細い弦を低めに張ってフラッシーなソロを弾く人達用のもの、という認識だったように思われるが、喜ばしいことにこの2020年の現在ではギターの奏法と音楽のジャンルとの組み合わせについての思い込みという垣根は取り払われつつあり、その結果全てのギタリストにとって必ず習得しなければならない技術の一つになっているように思える。

タッピングが、見た目が派手で飛び道具的でトリッキーな雰囲気を持った奏法であることから、そんな「軽薄な」奏法の親玉として認識される所為でよく忘れがちだけれども、彼はギタリストとしての地力故にスーパーギタリストの一人に数えられて尊敬を集めているのだ。
つうか彼が「スーパーギタリスト」の概念のオリジナルなのであって、他のスーパーギタリストとは彼に似た性質を持つ人のことを言う、と言っても強ち間違いではないと思う。

また初期には色んなパーツを寄せ集めて自分で組んで自分で塗装したものを使っており、機材イジリが好きな私としては親近感を覚える。
またその自作ギターが後世のコンポーネントギターやテクニカル系のギターの雛形となっていたり、彼の使う機材が後世の機材の発展の方向性を決定付けていたりする。

只のタッピングおじさんじゃなくて、色んな方向から見ても、ギター音楽界に対してマジで多大な影響を与えた人なのです。

私自身は彼から直接的に影響されたと言うよりは、どちらかと言えば彼に影響されたギタリストや彼に影響された音楽に影響された、ぐらいの感じである。
影響作用史的には私は孫世代ぐらい。
Van Halen の音楽は、私がギターを始めた頃には既に必修科目の教科書であり、真面目にギターに取り組むなら何曲かはコピーしておかなければならないような存在だった。
私は不真面目なのでそんなにはコピーしなかったけど。
そもそもそんなには好きでもなかったし。
CD も買ってたし嫌いということはなかったけど。
「Balance」がめっちゃ格好良かったり「Van Halen III」にガッカリさせられたりとか、思い出も無いではないが、Van Halen が直接的に私にとって重要な位置を占めているという訳ではない。
然しこんな私にも、彼の偉大さは身に沁みて知っている。
ギターを弾くのであれば、どうやったって彼の影響下に在ることになるのだ。
彼が、スーパーギタリストであった。