2010/10/31

似た傾向

噂によると、リベラル遺伝子、つまりその遺伝子を持っていれば或条件下ではリベラルっぽくなる傾向がある、という遺伝子が見つかりましたとのこと。
それはまあ話半分に聞いとくとして。
それにまつわるネット上の記事やら議論やらを見ると、色んな政治定期態度が他の色んな政治的態度と混同されているということがはっきりしてくる。
政治思想或は政治的態度のあれこれについての関心の薄さが思い知らされる。
コミュニズムとコミュニタリアニズムの混同とか共産主義と社会主義の(お馴染みの)混同なんてものはまだ生易しい方だろう。
左翼とスターリニズムを混同したり、マルキシズムとアナキズムを混同したり・・・。
「〇〇と〇〇を混同している」のテンプレートに思い付く限りの政治思想の名前をランダムに当て嵌めていっても大丈夫そうなぐらいだ。
そもそも一口に「左翼」とか「リベラル」とか言っても、それは非常にぼんやりとしたものでしかなくて、そのサブカテゴリーのお隣同士で全く逆のことを言ってるなんてことは全く珍しくないのに、「左翼って実はこうだ」とか「リベラルってのはこうでなければ」といったことなんて、カバーしている範囲が余りに広大過ぎて実際あんまり多くのことは言えないし大したことも言えないと思えるのだけれど。
多分「アメリカ人ってのは云々」とか「大阪人てのは云々」といったようなぼんやりしたことぐらいしか言えないだろう。
マルクスですら、若い頃と年取ってからとではかなり印象が違うし、アナキズムなんてのはチョムスキー的な緩やかなものから幸徳秋水的なものとか、或はファッションパンク風のもののまで幅広く存在している。
民主党的政治的態度と共和党的政治的態度しか存在しなような世界なら或は話は楽だったかも知れないけれど、実際にはもっと多くの政治的態度の一考に付すべき選択肢があると思うのだよ。
全ての存在する政治思想を判明に理解しておくことは実際難しいのだけれど、然し例えば「左翼」の中にも互いに全く異なる或は互いに相反してさえする多くの思想が存在していることぐらいは気に留めておいて欲しい。

こういった混同とか誤解とかの為に、折角起ころうとしていた議論が無価値なものになるのはなんだか忍びない。

まあ似たようなことはよくあることだ。
プラトンのプラトニズムと中世ヨーロッパについての文脈でのプラトニズムは一寸違うとか。
傾向は似てるので同じものとして扱っていると思わぬ落とし穴に嵌る、なんてことはよくある。