2004/08/01

後半

「前半」より。

古本屋に入る。今は特に読みたい漫画も小説も無いので、時間を潰すのに苦労する。ぶらぶらしていると、美術書のコーナーを発見し、興味が湧き、適当に読み漁る。ポロックとルノワールの画集が、安かったし、欲しくなるが、持ち帰るのに重そうなので、止めておく。が、止めたことを後に後悔する。
汗も或程度乾いたので、三ノ宮の楽器屋巡りをする。手持ちの金で買えるような物の中で欲しい物は今のところ無いので、身体的疲労だけが募るのを覚える。或は行方不明のTが、三ノ宮近辺を活動範囲としているので、あわよくば、ばったり出会うかも、と期待したが、そんな素敵な偶然も無く。
身体の苦しさがどうしても我慢ならなくなったので、帰りの阪急に乗る。座れたので、梅田に着く頃には、幾らかましにはなった。ウォークマンでツェッペリンを聴き、文庫のカミュを読み、外界との接触を出来るだけ避けながら。岡本で乗ってきたお婆さんが、私の体にぴったりひっついて座ったので、人間恐怖のある私は、非常にいらいらした。電車で座ると、いつもこうだ。何かしら、びくびくいらいらさせられる。
梅田で電源タップを買い、その後、何となく足が阪急百貨店に向いたので、地下の食品売り場へ行く。何お思ったのか、間違って、試し買いする筈の紅茶を200gも買ってしまう。多分、コーヒーの分量とごっちゃにしたのだろう。劇の事件といい、自分の脳の働きの甚だしい悪化に愕然とし、どうしようもなく遣り切れない気分になる。昔は、まあ馬鹿だったが、これほど馬鹿ではなかった筈だ。阪急の地下をぐるぐる回りながら、暫く落ち込む。
中国茶を売っている色の白い人が暇そうに肘を付いて口の前で手を合わせている姿が美しく、それを見て幾らか元気になる。
気を取り直して、アンリシャルパンティエでケーキを買う。「あれと、これと、あとこれも」とケーキを選ぶ私の姿が、まるで金に糸目を付けず美術品を大人買いするマイケルジャクソンのようであるかのように思え、何か、自分を嘲笑したい気分になる。途中、物凄く美味しそうなコーヒーの匂いがしたが、出所を掴めずにがっかりし、帰る。
帰ったあと、必ず今日買う、というつもりにしていたケーブルを買い忘れていることに気が付き、いよいよ自分の脳味噌の働きに不安を覚える。