2009/01/22

同軸デジタルケーブル比較:安価版

単に、比較して鼻で嗤う為に高いデジタル同軸ケーブルを買うのは馬鹿らしいので、規格通りのそこそこのデジタル同軸ケーブルと安物のラインケーブルで比較してみた。
デジタル同軸ケーブルは0.5mで1000円程度の一般的かもう少し高いかぐらいのもの。
75Ωの、ちゃんとS/PDIFの規格通りのもの。
まあこの短さじゃあんま関係無いだろうけど。
安物のは中古でジャンクの100円で買ってきた5mぐらいのものと、何か買ったときに付いてきた細くてチャチい1.5mぐらいのやつ。
而もデジタル同軸ケーブルでなく普通のラインケーブル。
因みにどちらもラインケーブルとしてはちゃんと使えることは確認済み。

一応使用機材。
プリメインはデジアンのSONYのTA-F501、CDプレイヤーはSCD-X501。
ヘッドフォンにAKGのK271。
ヘッドフォンアンプは別途用意していない。
スピーカーはBEHRINGERのB2030Pをオーテクの径6mmぐらいのケーブル(型番忘れた)3mずつで繋いでいる。
まあ価格的に言って、エントリークラスの環境。

計器は準備するのが面倒臭いので使わず、耳で聴いて判断する。
本当はマシなコンデンサマイクを使ったりラインアウトからオーディオインターフェイスに繋いだりして、倍精度以上のクロック精度で録音したのをPCで分析するといいのだろうけれど、面倒臭い。
聴くCDは各ジャンルの私が死ぬ程聴き込んできたものを沢山と、最近買ってきて未だちゃんと聴けてないFenneszの新しいやつ。
因みに私の住環境上、スピーカーからは余り大きい音を出せないので、スピーカーはそれ程アテにしなかった。
ヘッドフォンの音量は、普段聴く程度の音量、小さめの音量、普段は聴かないような爆音のそれぞれで比較。
TA-F501は現在設定されている音量レベルが表示される。

因みに私の耳は飛び抜けて良くもなく悪くもなくといったところなんじゃないかと思うが、客観的な基準に基づいて検査したことは無い。
然し聴くポイントは、私ものたうち回りながら曲を描いたり演奏したり録音したり編集したりしている経験から、普通の人よりは心得ているつもりだ。
判別能力はそこそこあると信じて頂いて結構。
高音域に関しては、モスキート音が未だ普通に聞こえるお年頃。
もうそろそろ年齢的にやばいのかも知れないが・・・。

検査方法は、先ずどちらかのケーブルを使ってCDを20秒から1分程度聴き、その後CDを一旦停止し、ケーブルを付け替え、再度CDの同じ部分を再生する、というのを何度か繰り返すという感じ。
この方法の問題点としては、自分が今どのケーブルを使っているか自分で判るので、思い込みや偽薬効果は疑わなければならない。
また一つのケーブルを使ったのを聴いてからもう一つのケーブルを使ったのを聴くまでにタイムラグが10秒少しはあるので、それ程精確な判断はできない。

で、結果。
違いが明確には判らなかった。
もしかしたら違いがあったのかも知れないが、私には判らなかった。
一応まともな耳を持っていると思われる私で判らなかったので、恐らく特別耳の良い訳でもない多くの普通の人にも判らないんじゃないかと推測した。
ベースがイキイキし出したりピアノに艶が出たりするようなことは、私の耳には一切無かった。
できるだけ真摯な態度で臨んだつもりだが、私の「音が変わる訳がない」といった思い込みが私の感覚に影響している可能性は勿論あるし、実は私が違いの判らん奴だという可能性だって十分にあり得る。
然しどう聴いても「明らかに」違うという程の違いではない筈。

ケーブル長が100mとかのレベルになれば、或はノイズの酷い環境とかなら、何か変わってくるのかも知れない。

或はフルデジタルで設計されたアンプ本体の性能が良いのかも知れない。
序でにライン接続とも聴き比べてみたが、音はそれ程変わらなかった。
ライン接続の方が多少ノイズが多いが、それもかなり音量を上げないと判らない。
あと多少高音域が丸まったり、音質の変化は少しは認められるが、気を付けていないと判らないレベルだし、デジタル接続のときと比べてどちらが良いとか悪いとかといった種類の差異というよりはどちらが好いとか嫌いとかのレベルの差異だ。
因みにラインケーブルはオーテクのFineの一番短かったやつ。

もう一つの可能性としては、今回まともなケーブルと悪いケーブルとで音質的差異が認識されなかったが、スゲー高いものを使えば明らかに違いが判るぐらい違うのかも知れない、ということもあり得る。
ネットでは矢張り「超高いデジタルケーブルに換えたら音が明らかに良くなった」的な言説はかなりの数見かける。
「明らかに」と明言していることと自信満々なところを見ると、矢張り何かあるのかも知れない。
私のようなエントリークラスの環境では体験できないようなキセキ体験がハイエンドクラス界隈にはあるのかも知れない・・・。

でも仮にケーブルでそんなに違うものなら、やっぱデジタル接続方をイチイチ開発する意味無いと思うんだよな・・・。
デジタルの良いところは、データの同一性を確保し易いところにあると思うのだよ。
然しS/PDIF規格ではデータチェック/再送機構が備わってないらしいので、必ずしも送り側と受け手側でデータ同一性が確保されている訳ではないのだそうだ。
でも音が明らかに変わるぐらい、そんなにしょっちゅうビットが裏返ったりしてたのでは、それはS/PDIF規格を決めた奴が悪い。
S/P即ちSONYとPhilipsか。
それならイーサネットのチップを使ってメモリを積んで、LANケーブルで繋いだ方がよっぽどいいと思うし、それをしなかったのは何か訳があるんじゃないかと思うのだよ。

S/PDIF規格の仕様を今度ちゃんと調べてみる必要があるな・・・。
私の解る範囲で。