2005/12/09

酒とブルース

ブルース。
酒を呑みながら聴くときは、凄く沁みるのだが、素面の時はあんまりパッとしないというのが哲学の学生の間での専らの噂。
ロバジョンとかハウリンウルフとかマディー・ウォーターズみたいな古いやつは特に、酒でも呑まないとその良さが解らないようにさえ私には思える。録音の古い物に特有な低音域の欠如が酒にどっぷり浸かって疲弊した脳には丁度良いのかも知れない。
スティーヴィー・レイ・ヴォーンは、素面でも酒を呑んでも私には良さがイマイチ能く解らないのだが。まあ私は彼をあんまり好きじゃないのです。まともな神経を持ったギタリストで彼のことを好きにならない奴はいない、ということが彼の信奉者達によって言われるのを聞くが、そんなものは反吐が出るような全くの嘘っぱちです。というのは私がまともな神経を持っているという理由からこのことが間違っているということが導き出されるのではなく、或人の神経がまともかどうかは或一人の音楽家を好んでいるかどうかということによって推論できる程馬鹿単純なことではないからである。
ロリー・ギャラガーみたいなポップなブルースは、酒を呑まずに聴いた方が良く聴こえることが多いように感じるが。因みに私は、ブルースを学ぶ初期の段階においては、彼からブルースについての多くを学び取った。
ジミヘンは、特にライブ音源のは、べろんべろんのときの方が好い。
ジミヘン以降、ジミヘンの影響下にあるような種類のヘヴィーブルースのギタリストってのはストラトに太めの弦を張ってファズをかますものだ、ということが定式化されている感じがある。特にスティーヴィー・レイとかケニー・ウェイン・シェパードとか、モロに。
で、ジミヘン系列のブルースマンで現代一番好いのは、ドイル・ブラホール二世。
確かB.B.キングとクラプトンが一緒にやったCDで弾いていたと思う。私はまあクラプトンはあんまり好かんので聴いてないが。
この、ドイル、酒を呑まなくったって、ちゃんと素敵に聴こえる。
サウンドは、私には空間や生っぽさやダイナミクスが一寸足りないように感じられるようなサウンドなのだが、まあ、ブルースに何故か在りがちなビミョウな懐古主義的なサウンドということはなく、また何の捻りも無いストレートなブルースの表現様式だが、現代的でよく考えられているサウンドではある。
因みにケニー・ウェインは現代的なサウンドといものを、若し彼が目指しているのだとすれば、見当違いの仕方で間違った視点から目指してしまっているように見える。ギター弾きとしては素敵なので残念に思う。