2005/12/05

京都、方角、歩行

雨の中、結婚式に参列してきた。
朝早く起きて、ばしっとスーツを着て、白っぽいネクタイをして、電髪のあたった髪をハードジェルでジェントリ風に撫でつけ、寒いので革のコートを着て、ラバーソールのドレスシューズを履いて、京へ出向く。傘を忘れる。
余り失礼の無いようにだけ気を付けて、テキトーにぼんやりする。
シャンパンとワインを呑み、料理を戴く。
私は、飲酒した上に寝不足で、食事とデザートの間に、ふっと寝てしまう。
いつの間にかデザートが目の前に用意されているのに驚く。

意外にも陽のある内に式諸々が終わったので、雨も上がったことだし、京でも散歩してみる。

私は太陽か星さえ出ていれば大体方角は分かるのだが、空が曇っていて太陽に位置がどこか分からず、大体の方角すら分からない。
というか今自分がどこにいるのかも分からない。
結婚式場のパンフレットに描かれていた簡略化された地図を見て、南西の方に阪急の河原町駅があるらしいという情報を得る。
取り敢ずは方向も定めず歩いていると東大谷なるところへ至る。
そこらへんから自然のある方へ適当に歩いていると、山へ入る獣道のような道が見つかったので、バリバリのスーツにドレスシューズ姿で山に入る。皮底でなくてラバーソールにしといて良かったと思う。
私は山道でも泥を撥ねささず歩く歩き方が出来るので、スーツでも特に問題ない。
写真など撮る。
或程度歩くと、睡眠不足と飲酒の所為で息が上がって来る。
序でに雨もパラパラ降り出す。
下山を余儀なくされる。
山を下りたら、知らないカップルに「清水寺は何処ですか」と訊かれる。
知らないが、少なくともこの上の山ではないという旨を伝える。
円山公園なる公園辺りで雨宿りするが、雨は強くなるばかり。
仕方無く雨に濡れながら歩くことにする。
歩いていると、見たことのあるでっかい神社(帰宅後そこが八坂神社だと知った)に出る。
その神社で雨宿りをしているうちに、確かこの神社の近くにコンビニがありそうな街並みがあったはずだと思い至り、その神社の正面っぽい門構えの門から出てみる。
が、外は昔ながらっぽい街並みだったので焦る。
が、野生の勘と人の流れを観る的確な直観を以ってその辺を適当にうろついていると、コンビニがありそうの街並みを発見する。っていうかいきなりコンビニを発見する。
ビニール傘が何故かジャンプ式のしかなかったので、仕方無くそれを買う。
取り敢ず、街並みから推察して、南西っぽい方角へ突き進む。実は北西だったのだが。
サギが居たので写真を撮る。
京阪の三条駅とその近くの京都市営地下鉄の三条京阪駅に至る。
その近くにあったブックオフに寄るが収穫無し。
京阪や市営地下鉄には乗らず、路線図から方角を無理矢理推察して、また南西目指して歩き出す。実際は北東だったのだが。
街並みに「東山」という文字を発見して俄に不安に襲われる。あれは確か京都の北東だったような。
また「河原町行き」と書かれたバスが自分とは逆の方向へ走っているのを観て不安は増大する。
「二条」という名の道路へ出て不安はピークに達する。確か京都の「条」は北から番号が振ってあったような。
一方で「まあ歩いてさえいれば必ず何処かに至るのさ」などと考えながら歩く。なんくるないさー。
運動すると人は快活になるのかも知れません。ビミョウな感じに。
京都市美術館、京都会館に至る。着物の人が沢山居るのを観る。
ここでまともな地図をやっと発見する。自分が真逆の方向へ歩いていたことを確信する。
意気消沈し、どうしていいのか判らなくなるが、兎に角来た方角へ引き返すしかなさそうなので、そうすることにする。
三条の駅に着くが、ここまで来たならもう一息、何となく初志貫徹、と、更に南西へと突き進む。
途中でタワレコがあったので、一応寄る。が、特に買うものもなく、すぐに店を出る。
道中、びっしょり濡れて豪く寒いし、慣れない靴で歩き回って相当疲労しているし、足痛いし、睡眠不足で、そういや酒も呑んだし、百回ぐらい、生まれてきてすいません(by太宰治)とか、色々と後悔する。
或限界を超して肉体的に疲労すると、人は心まで疲労するものです。
が、どうにか阪急の河原町駅に至る。
阪急百貨店を発見したときのなんと嬉しかったこと。
が、梅田まで特急で立ちっぱなしになる。急行なら座れたのだが、判断を誤った。
梅田に至るが、脛の筋肉が筋肉痛になり、ぺったんぺったんと、足に合わないでかい靴を履かされているかのように、確っかり歩けなくなる。
無駄に逆境に強い性格の所為で、折角梅田に来たのだからと、成城石井でハーブティーなど買い、タワレコに寄り、帰宅する。
もう動けません。一歩が痛い。


因みに写真はどれもピンぼけでした。