2007/07/09

背中

色々投げ出して逃げ出たいが、私がそこから逃げたいと思っているところのものは、私の背中にぴったりと貼り付いていて、どこまでも私を追いかけてくる。
冬虫夏草のようなものだ。
「私」という語の語義上、私はそれから似げ遂せることはできない。
仕方がないのでワインでも呑む。
これは元の意味を失ってしまった形式的な儀式だ。
総ゆる形式的な儀式がそうであるように、これもまた私を滅入らせることのみに役立つ。
酒でハッピーになれるなら、この儀式も意味はあっただろうが。
顔が赤くなるか、せいぜい頭が痛くなるだけだ。

寝て了おうか知ら。
現在持ち得る感覚の中で眠気だけは心地好い。
未だもう少しこういう眠気を味わっていたい気もする。
じゃあこのグラスが空く迄。

こういうときに聴くべき音楽がないものだろうか。
外では既に鳥が鳴いている。
グラスは空いた。