2006/11/18

ミルトン・フリードマン逝く

ミルトン・フリードマンが死んだねえ。
人間の自由ではなく、より力のある人間がその力を気の赴くままに行使する自由という意味での「自由」主義経済に政策的理論的基盤を与えた人で、市場至上主義経済の信奉者達のアイドルで、まともな自由主義や社会民主主義の反アイドル的存在だった人。
サッチャーとかレーガンとか利己的で貪欲な大企業とか「不採算事業」と「税金の無駄遣い」とを混同して更に不採算事業は切っちゃえみたいな感じで国と企業の特性を混同しているような人達にはかなりモテたが、一般的に左翼知識人からは無視されるどころか嫌悪された人。
彼やその取り巻きの業績のお陰で、南米の都市部の周りにはスラム街が形成されたし、イギリスの水道料金は上がったし、地方のJRの料金は高かったり、他の重要な問題をそっちのけにして郵政民営化法案が国会を通った、という感じ。
そうか、彼は死んで了ったのか。
彼が死んで世界が一寸は良くなったりする訳でもないし、この奇妙な自由主義の流れが止まる訳でもないだろうし、まさか彼の死を喜ぶべきでもないしその理由もないが、兎に角我々は重要な代名詞或はメタファーの指示対象を一つ失った訳だ。