2016/02/20

Trackball Explorerの後継としてDEFT、成るか成らざるか

私は、昔マイクロソフトのTrackball Explorerを使っていてその完成度の高さからトラックボール道へと足を踏み入れた者のうちの一人である。
でも使っているうちに、トラックボールのボールを支持する部分が、最近のトラックボールは大体人工ルビーを使っていて耐久性はあるんだけれど、Trackball Explorerは耐久性の劣る素材(ステンレスだったっけ)だったので、その支持する部品が摩耗してボールが回らなくなってしまった。
今なら修理して使うんだけれど、当時は私も若く、知識も技術も思慮も欠けていたのでしばらく放置後捨ててしまった。なんてこった。
私のTrackball Explorerが壊れてしまったときには既にTrackball Explorerの生産が終了していたと思うのだけれど、似たようなトラックボールがあるだろう、今なくてもそのうち誰かが作るだろうと高を括っていたのだ。
それが全ての誤りの始まりだった訳だ。

それからずっと、トラックボール荒野を歩かされる羽目になってしまった。

かなりの種類のトラックボールを買ってきたのだが、その全てがどこかが不足していた。
Logicoolの歴代のトラックボールは、ボタン等の耐久性はイマイチだが、使用感は満足ではないにしろまあ問題無いレベルというものは多かった。
壊れたら買い換えるという感じ。
でもなんでか全部無線になってしまった・・・。
無線はマジで嫌いなんだよおおおおぉぉぉぉぉっ!
電池要るし。机の上が散らかっているだけで電波悪くなって反応が悪くなったりするし。
Kensingtonのトラックボールは素晴らしいデバイスなのだけれど、ドライバが少しイモい。
一寸特殊なことをしようとするとすぐ挙動がおかしくなる感じ。
あとSlimbladeを買った時に初期型を掴んでしまった所為でボタンの同時押しができなかったりして死ぬ程悔しい思いをした。
Elecomやサンワサプライは、ヨドバシとかで触ってみて少しもピンと来なかったので買ってみようとか思いもしなかった。
・・・のだけれど、最近になってElecomがトラックボールに力を入れてきた!

先ずElecomのLogicool M570型トラックボール。
私の買ったのは「握りの極み」期のもので、小指のボタンの機能が減速に固定されていて変更できないヤツ。
因みに現在のモデルでは小指ボタンに他の機能を割り当てることができるらしいけど。
操作感に関しては、LogicoolのM570と似たようなもので機能が多少アップた感じ。
有線モデルもあるし、ホイールはチルト可だし。減速ボタンは使ったこと無いけど。
但、握った感じは手のデカイ人用という感じで私にはM570の方が良かったし、あとセンサーに死ぬ程ゴミが溜まる。
あと私、親指操作ってあんま好きじゃないんよね。

で、またその後Elecomから新しいのが出た。
DEFT(→Amazon)(→Elecom)。M-DT2DRBK。
Trackball Explorerに近い仕様のものがやっと出てきた!
Trackball ExplorerとLogicoolのTrackmanの間ぐらいか。
ボタンもイッパイ付いているし、人差し指操作だし、有線モデルがあるし。
あとElecomのドライバソフトウェアのマウスアシスタントは意外と高機能だし安定性も高い。
ボールはもう少し大きい方が好かったけれど。
ボディの高さももう少し低い方が好かった。Elecomはなんか手のでかい人用やね。
まあでもコレですわ。コレを待っとったんですわ。
でもさあ。
でもさあ!
DEFT本体からめっちゃモスキートノイズが出てるうううぅぅぅぅぅぅwwwWWWRRRRYYYYYY!
8-10kHz辺りと倍音で15-20kHz辺りかね。
リンパ腺が腐る。
マジですっげーうるさい。
マジかよ勘弁してくれよ。
鳴くなら可聴域外でお願いします。

ということで結局他のトラックボールを使うことに。

今有る中ではM570が一番マシかと思ったのだが、そういや中クリックとホイールが壊れてた筈。
ということで、中を開けてみたら(ネジがトルクスのT6)、中クリックの辺りに毛が挟まっていた。
ホイールはレーザー式のロータリーエンコーダになっているので、毛がレーザー光を遮ったり遮らなかったりしてたみたい。
毛を取り除いたら使えたので、しばらくM570に戻ってた。

でもやっぱDEFTを使いたいと思い直し、DEFTの中を開けて、鳴いてる所を探してみる。

最初はセンサユニットを疑った。
センサが反応しているときにモスキート音が鳴るからだ。
センサユニットの蓋を開けてユニット本体を慎重に触ってみるも余り音に変化は無さげ。
でもこのタイプのセンサが鳴くってあんま聞いたこと無いなあ。
一応、センサ本体の周りをエポキシ樹脂で固めてみたけど変化無し。

因みにセンサユニットの基板は「握りの極み」と同じだったので交換してみたけど全く変化無し。
センサユニットの個体差とかではなさそうだ。

次にセンサユニットが乗っている基板のコンデンサ。
これも触ってみたけど音に変化無しなのでまあ違うだろうと。

じゃあどこやねん・・・。
DEFTのメイン基板を触ってみると、音が微妙に変化した!
メイン基板の方か!
ということで、メイン基板をボディから取り外した状態で電源を入れてみると、何故か音が小さくなる・・・。
色々いじっているうちに、どうやらメイン基板とボディが共振してデカい音になってるっぽい、ということが判る。
まあここまで判れば、あとは基板上のどの部品が鳴いてるか判ればいい。
竹ピンセットで部品を1つずつ押さえていくと、コンデンサのC21に触れた時に音が大きくなり、他の部品に触れたときは基板本体を押さえた時と同じような感じで音が小さくなる。
Elecom DEFT コンデンサ鳴き修理01
Elecom DEFT コンデンサ鳴き修理01 posted by (C)Ludwig D. Omen
つまりC21を押さえると振動しているC21が基板により密着して音が大きくなり、それ以外の場合は竹ピンセットで振動が抑制されて音が小さくなる訳ですな。

C21の振動が基板へ伝わるのを軽減するか或は基板の振動がボディへ伝わるのを軽減するかすれば、モスキート音は大分マシになる筈。
まず基板のボディへの振動伝達を止める方法を考えたけれど、少し接触しているだけで共振が起こるので断念した。
次にC21の振動を基板へ伝わらないように考える。
C21をでかいスルーホール用のコンデンサへ交換するのが一番早いんだけれど、それにはC21の容量がある程度でも判らないと。
でもLCRメーターとか持ってないしな。
つうことで、C21を壊さないように取り外し、リード線で下駄を履かして基板から浮かしつつ再度ハンダ付けする作戦。
C21を浮かせてしまって基板への振動伝達を軽減する訳ですな。
C21は結構でかくて容量ありそうやし、リード線のキャパシタンスやらリアクタンスやらはあんま考えなくてよさげ。多分。
でもチップ部品を壊さないように外すの結構ムズいんよな・・・。
Elecom DEFT コンデンサ鳴き修理02
Elecom DEFT コンデンサ鳴き修理02 posted by (C)Ludwig D. Omen
普段使ってる半田ゴテはコテ先を斜めカットの幅広タイプに交換していて、それだとスルーホール実装部品には便利だんだけど表面実装のチップ部品には熱の伝達が早過ぎるしコテ先がデカくて要らんトコに当ってしまいそう。
なので、20Wの古い半田ゴテでコテ先の細いのがあるので、そいつを数年振りに引っ張り出してきて使う。
ハンダをハンダ吸い取り線で或程度吸ってからコテ先で押してグラグラさせて取る。
多分壊れてないと思うけど・・・。
取れたコンデンサにリード線をハンダ付けしたらリード線を基板にハンダ付けする。
Elecom DEFT コンデンサ鳴き修理03
Elecom DEFT コンデンサ鳴き修理03 posted by (C)Ludwig D. Omen
オウケイ、完成。
これで基板を組み込んで電源入れてみたら音がめっちゃ小さくなってる!
一寸鳴ってはいるけれども、大分マシにはなった。
Elecom DEFT コンデンサ鳴き修理04
Elecom DEFT コンデンサ鳴き修理04 posted by (C)Ludwig D. Omen
ボディの中身に吸音材としてティッシュでも詰め込んどけば更に良くなるだろう。

つうことで、Trackball Explorerの感動(の一部)をやっと取り戻せた。
だが素直にElecom有り難うとは言い辛い!

やっぱMicrosoftがTrackball Explorerの後継機を出して呉れるのが一番良いのだろう。