2008/05/30

心脳ジャンプ

我々は、例えば自分が悲しいと感じたときにはいつも自分の胸ポケットにペンが刺さっていたからといって、胸ポケットにペンが刺さっていることと悲しいこととを、普通は関連付けて考えたりしない訳だ。
然し或種の脳波や脳内の血流量の変化などを見て、例えばその人が集中してるかぼんやりしてるかといったことぐらいは判る、と我々は普通考えている訳だ。
多分我々は、普通、たとえ物理主義者や心脳同一説の論者であったも、実際には脳の物理的状態と心的状態とを端的に結びつけて考えてるんじゃないんじゃないか。
と思ったり思わなかったり。

心的状態の民間心理学的記述を物理学の言葉で(まあ還元的に、とまでは言わないが)かなりがっちり分析(或は翻訳)できる程、現在のところ脳科学やら実験機材やらが進歩していないので、脳の状態を見て心の状態が殆ど判るような人は未だ居ない訳だ。
然し、我々の中に脳と心との間に何らかの関係があることを疑う者はいないだろう。
ここにジャンプがある訳だ。
このジャンプの仕方はどうしたらいいのかということで、哲学者達が日夜議論を交わしている、そういう種類のジャンプがある訳だ。

この我々がいつもしているジャンプが、一体どういうものなのかについて詳細に記述することができれば、何か一つ面白いことが言えそうな気がする。
多分このジャンプは、実際のところ、例えば物理主義者や心脳同一論者達が自認しているよりも、そんな単純な代物ではないんじゃないだろうか。

と、昔いつも思っていたことを風呂の中で思い出した。