2006/07/09

ヴァレンシア

ヴァレンシアというミュージシャンが居る。
Queenのフォロアーで、1994年のアルバム『GAIA』で有名。
綴りは「Varensia」。
私は彼の音楽を少しだけ気に入っている。

で。
昨日、タワレコをうろついていたら、「ヴァレンシア」のタグのところに私の知らないものが入っていた。
而もジャケットが、なんかいつものヴァレンシアのと雰囲気が違う。
田舎臭い背景に、ボケッと斜め上を向いた短髪のモサい男が、ウェディングドレスを着たパッとしない女をお姫様抱っこしている写真がジャケットになっている。
今までなら絶対にあり得ないジャケットだ。
何か心情に重大な変化でもあったのだろうか。
ほう、興味深い。
これは若しかしたら、買って聴いてみる価値があるんじゃないだろうか。
で、輸入盤が安かったから、それを買ってみることにする。

で、聴いてみたんだけど、一曲目、なんかえらいエモコアっぷり。
ナンじゃこりゃ。
歌い方も、彼にしては全然神経使えてないし、而もなんか声までえらい変わったような。
どこにでもある、使い古された、変わり映えしない、元気だけが取り柄の、ゲンナリする程普通のエモコア。
・・・ヴァレンシア、御乱心なされたか?
流石に二曲は続くまい、と思って二曲目を聴くと、これもまたどうしようもない普通のエモコア。
次の曲も、その次の曲も。
ん?これは一寸おかしい。
ということで色々調べてみると・・・。

ヴァレンシアというバンドがある。
エモコアバンドで、2005年、アルバム『This could be a possibility』でデビュー。
綴りは「Valencia」。

はい、それでした。
成程ねえ。

幸いエモコアとしては「普通」ぐらいのできではあるので、資料として一枚持っててもいいなじゃないかと思って自分を納得させる。
まあそもそもエモコアの方法論を用いて「普通」に満たないものを作る方が難しいのだが。
若しエモコアの方法論を用いた作曲で失敗することが可能であるとすれば、それは何か創造的な実験に失敗したのか、或はそもそも最低限の音楽的感覚すら全く持っていなかったかのどちらかである。