2021/05/08

Danelectro Shorthorn のフレット&ブリッジ交換

他人には全くオススメできないでお馴染みの、Danelectro の Shorthorn の現行バージョンである所の 59M NOS+、値段の割に仕上げが若干甘めとか加工精度がイマイチとか使ってる部品のクオリティが糞とか、気に入らない部分は多々あるけれども、色々改造して音的にはまあそれなりに気に入って使っている。
コレのフレットを背の高いヤツに交換したろうと思って放置していたもの、遂に手を付ける。
元々のフレット高が 1.0mm 程度。
これを JESCER の No.58118(ジャンボフレット)のニッケルシルバーのものに交換する。
高さ 1.47mm あるので、すり合わせをしても 1.4mm は残る感じ。

フレットは以前 Steinberger Spirit をリフレットしたときの余りである。
Spirit は本当は 24フレット + ゼロフレット で 25本 必要なんだけど、私は 24本 セットのものを買ってしまい、後でゼロフレットの存在を思い出してもう 1本 の為にもう   1セット 買わなければならなかった。
その残り 23本 を今回使う。
59M が 21フレット なので 2本 余る。

あと序でにバダスもどきのブリッジも気に入らないので交換する。
Montreux のバダスタイプに交換するのが正着なんだろうけれど、59M ゴトキに 10,000円 は高いので、信頼と実績の GOTOH の 510UB にする。
510UB の画像を見た感じ、ケツ部が長いので 59M のブリッジ部のザグリ部分がエンドピン側に不足しそうに見えるけど、最悪ザグリは削り直してしまえばいい。
或は面倒臭そうなら Epiphone の Les Paul SL に付いてきたラップアラウンドブリッジを転用してもいい。

つうことで、作業に取り掛かる。

ネックを外すと角度調整用のシムが 2枚 重ねてあった。
プラ版と厚紙・・・。
どんなクオリティコントロールやねん。
そういやボリュームの高さ調整もガバガバのナットを挟み込んでただけだったし。
まあ兎も角ブリッジをバダスタイプより背の低い 510UB に交換するならこのシムは必要無い。
あとコイツの所為でリアピックアップの高さをめっちゃ上げなくてはならなかったので、無い方が良い。

フレットはマイクロニッパーで挟み込んで浮かせてから喰切りで更に浮かせて抜く。
喰切りは TTC の EN-165S を無加工で使っている。
刃をフラットに加工すればヤスリ仕事が減って楽かと思うが、そうすると刃の耐久性は落ちそうで私はやってない。他でも使いたいし。
フレットが抜けたら細工ノコで溝の樹脂とかを掻き出しておく。

指板サイドを養生し、フレット抜いたとこに出るササクレを押さえ込んで、溝に瞬間接着剤を流し込む。
ササクレを補修しつつ溝の強度を上げる。
瞬間接着剤は幾つか試した感じ、アルテコ 711 が一番良かったかな。
他には Loctite 420 とかアロンアルフアの釣名人とかも低粘度で木材への染み込みは良い。
釣名人は 2g 入りで 300円 ちょいだけど、アルテコ 711 とか Loctite 420 は 20g で 700円 ちょい。
ギター 1本分 だけなら釣名人でも足りるかも知れないけど、他にも使うなら 711 とか 420 がお得。
木部のネジ山に染み込ませてネジ山を強化するのに使ったりするし。
余ったら冷蔵庫で保管すればそこそこの期間保つし。

瞬間接着剤が完全に硬化したら細工ノコで余分な接着剤とかを取り除く。

トラスロッドを調整してネックをできるだけストレートにして、HOSCO の R14" のサンディングブロックを使って指板の面を出す。
フレットのタングをネック幅から 1-2mm 程度オフセットするように切って、フレットを打ち込み、喰い切りでフレットの端を大まかに切り揃える。
フレットが打ち込み終わったら指板を養生してヤスリでフレットエンドを整形する。
再びトラスロッドでネック調整して HOSCO のサンディングブロックに#800~のサンドペーパー付けてフレットすり合わせをする。
すり合わせできたらサンドペーパーとかスポンジヤスリとかでフレットのクラウンを整形する。
フレットが整形できたらコンパウンドで磨く。

フレットが完成したらフレットも養生して、指板サイドに残った溝をエポキシで埋めて、刷毛塗りのクリアラッカーで塗装し、完全に乾燥したらサンドペーパーやらコンパウンドやらで磨く。

指板がなんかめっちゃ乾燥してるような感じに見えたので、レモンオイル・・・は無いから食用の太白胡麻油をウッスラ塗っておく。

フレットの背が高くなったので、ナットも高くしなければならない。
59M はアルミのナットをネックにネジ留めしてあるので、一旦ネジ穴をエポキシで埋めて、ナットの底に T0.5 のアルミ板を瞬間接着剤で貼り付けて下駄を履かせる。
ネックを取り付けて、元のブリッジ + 元の弦を仮で張って、ナットが良い感じの高さになるようにヤスリでアルミ板を削る。
高さが決まればタイトボンドを少量塗ってそのままネジ留めしてしまう。
古いブリッジと弦はもう要らないので外しておく。

ブリッジ。
510UB を載せるつもりだったけど、木加工がメンドくなってきて Amazon で 1,800円 ぐらいの Musiclily とかいうトコのオクターブ調整できるタイプのラップアラウンドブリッジを、めっちゃ迷って買う。
こういうのは有名所の OEM 供給元だったりしてちゃんとしたモノだけど安いという場合もあれば、何も解ってない人が唯見た目だけを真似て作った真正のゴミを売ってる場合もあるからなあ・・・。
あと Amazon のレビューは何の役にも立たない。
届いたので見てみると、なんか切削屑の上からメッキかけてる感じだしタップのバリもそのままだし・・・。
工業製品としてのクオリティはウンコ。
取り付けて弦を張ってみると、スタッドとブリッジの遊びが大き過ぎてブリッジのケツが浮いた状態になる。
そうするとブリッジの駒に弦が接触せず、オクターブ調整ができない。
59M は Les Paul Special とかと違ってネックの仕込み角が無いので、スタッドの方向と弦の方向が垂直に交わる感じなり、ブリッジのケツが浮くと駒に弦が接触しなくなってしまう。
つうかこの浮きだと Les Paul Special のネック仕込み角でも厳しい気がするけど・・・。
あとこの 59M のスタッド自体が、加工精度悪過ぎて垂直に入っておらず、片方が若干ネック側に倒れているのもある(なので弦高を上げると音程が下がる)。
ブリッジが噛み込む部分の径が太く高さが低いスタッドを持ってるので、それに合わせてブリッジを自分で精度良く加工してブリッジがほぼ真っ直ぐ取り付くようにすると 59M 側のスタッド穴の加工精度の所為でスタッドが回らなくなり、それを避けられるだけの遊びを作るとブリッジのケツが浮いて、弦によって駒に接触したりしなかったりする感じ。
つうことでブリッジのケツ部分をハンディルーターで削り、ブリッジの駒に弦がガッツリ乗るようにした。
けど今度はブリッジの元の加工が悪過ぎて駒が浮いており、音を鳴らすと駒がめっちゃビビる。
つまり最初からどうやってもコイツはマトモに使えなかったということだ。
糞があああああああああ!

諦めて 510UB を載せることにする。
やっぱ木加工が必要で、ハンディルーターでザグリをエンドピン側に 10mm 程度延長する。
ううん、やっぱコレ、メゾナイトじゃなくて MDF だと思うんだけど・・・。
トップ材の下のブロックはポプラか柔らかいメイプルかという感じの材木。
木部が露出したトコはエポキシを塗っておく。
この部分は弦交換時に弦の先が当たる部分なので、ちょー硬くなるでお馴染みの J-B Weld を使った。
色は塗らず。
59M 側のスタッドが若干斜めに入っている所為で 1弦 側を 6弦 側より下げると急激にスタッドの回転が固くなってしまうけれど、一応ちゃんと調整はできる。
弦を新しく出してきて(クソ、この弦不足のときに・・・)張ってみると、ちゃんと駒も機能を成しているし、当然ビビりとかも無い。
これが信頼と実績の GOTOH よ。調整するには 3種類 の六角レンチが要るケド。

因みにスタッドのネジ部にはタミヤの接点グリスを塗り込んである。
そうしないと弦高調整のときにスタッドがスムーズに回転しないので。
GOTOH の 510UB なら六角レンチが使えるので回転が多少固くてもそれ程苦ではないけれど、一般的なスタッドでコインとかマイナスドライバーとかで回そうとすると大変だったので。

完成。
やっぱジャンボフレットになると指板までの距離があるので若干指先に負担が掛かる感じがするけど、弦を確実に押さえられる感じはある。
弾き易くなったかと。
ネックのシムを外して仕込み角がフラットになったので、リアのピックアップを以前みたいにゴリゴリに上げなくても済み、調整がし易くなった。
510UB は、最初から素直にコレにしとけばよかったという感じの安定感。
音的には、生音は安っぽいカランとした部分が減って、確っかりした鳴りになってしまって Shorthorn らしさが減った。
楽器としては正解かも知れないけれど、特徴が減ってしまった感じ。
開放弦でも同じように感じるので、フレットというよりはネックのシムかブリッジの所為か。
まあピックアップがショボいので出音は特に大きく変わった感じは無い。

つうことで何故か Over the hills and far away (Led Zeppelin の方)を只管弾き続ける。
Kashmir でもなく。

フレット交換はこれで 2本目 の成功となる。
フレット交換についてはもう「できる」と言っていいんじゃね?
道具さえ揃えてしまえば、あとは根性でどうにかなりそう。
次は Ibanez S か Squire Duo-Sonic 辺りをやってみるか。

Soundhouse
GOTOH 510UB Chrome
GOTOH 510UB Chrome
JESCAR #58118 NS18%
JESCAR #58118 NS18%

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最近お気に入りの Elixir Optiweb の 0.011 のセットが手に入り辛い・・・。
0.010 と 0.009 のセットは現状は回復しつつあるように見えるけど、売価も以前より高くなってるし、未だ不安定な感じがする。
つうことでたまには Ernie Ball を使ったりしてるんだけど、やっぱ私的には Ernie Ball の方が音は好みなんよね・・・。
何も悩まなくていい。
すぐ錆びるけど。