2022/08/25

Elixir と D'Addario XS の比較:寿命以外

弦。
長寿命が魅力的過ぎるでお馴染みの Elixir の Nanoweb か Optiweb を使ってるんだけど、音的には余り気に入ってはいない。
ホントウは、音は Ernie Ball が好きなんだけれど。
でも Ernie Ball は一瞬で錆びてしまう。
ぶっちゃけ Ernie Ball の弦が死んでるときの音もまあ嫌いではないのだけれど、張りっ放しで放っとくとプレーン弦とかすぐ錆びるし、錆びた弦のフレットへの影響とかを考えると、まあ長く張って2週間というところか。
太いゲージの弦ならもうちょい保つかもだけど、0.009 のゲージとかだとまあ精々そんなもんかと。
Elixir は1セット当たり Ernie Ball の倍ぐらいの値段だが、平気で3ヶ月とか保つし、そんなに弾かないギターだと1年以上同じ弦を張りっぱなしってのも珍しくない。
つうことで、お財布的な意味では Elixir がお得。
お得なんだけど、音があんま好きじゃないんよな・・・。

音も悪いとか使えないという訳じゃない。
弦の暴れ感を減らしたいとかフラットで硬い音を出したいとかスムースなディストーションとかには逆にマッチしそうだし。
単に好みの問題だけど、Elixir は Elixir の音がする Elixir しかない。
Elixir の長持ち技術で作られた Ernie Ball とか Ernie Ball の音がする Elixir がある訳ではない。
合うギターには合うだろうし、合わないギターには合わないだろうし。
そして私の最近買った Telecaster には絶望的に合わない。

Elixir 以外にもコーティング弦は各社から色々出てはいるんだけど、ホントにちゃんと3ヶ月とか半年とか保つのは Elixir しか知らない。
他になんか錆び難い、私の懐に優しい弦は無いんかと。
そろそろ Elixir の独壇場が崩れてもいいんじゃないかと。

と思ってたら、D'Addario がなんかやってるっぽい。
ギター弦としては新採用の素材である高炭素鋼で作った NYXL シリーズが出てもう何年も経ったが、それをプレーン弦も含めてコーティング弦にした XT シリーズが数年前に出てた。
巻弦の、巻いてる鋼材自体にコーティングして、そのコーティングしたヤツを芯線に巻いてる、ってヤツ。
でも噂では XT シリーズも保ちはそれ程ではなく、まあ少なくとも Elixir と比較する程のものではないらしいってことで、私も結局使わず仕舞い。
と思ってたら、いつの間にやら XS シリーズってのが出てる。
巻弦のコーティング方式を Elixir と同じように弦全体をコーティングするタイプにしたらしい。
プレーン弦は従来の XT と同じコーティングっぽい。
因みに Elixir のプレーン弦はコーティングじゃなくてそもそも錆び難い素材(或いはメッキ?)で作ってるという違いがある。
なんか XS シリーズの巻弦、長持ちしそうやん?
この XS/XT シリーズのプレーン弦が Elixir と同等ぐらいに保つのであれば、多分 Elixir の代わりになりそうですやん?
ということで、買ってみることにした。
今のところ、大体どこでも1セット 1,800円 ぐらいで結構高い。

Telecaster に 0.010 のセット、Les Paul に 0.011 のセットを張ってみた。
ちなみにTelecaster はトップロードじゃなくて一般的な裏通し。

プレーン弦がめっちゃツルツルしてる。
1弦を張るときに私はいつもペグ(ロックペグ)に弦を真っ直ぐに通した状態で弦がピンと張るように引っ張りながらロックするんだけど、ツルツル滑ってあんまり強く引っ張れなかった。
けど張って弾いてみると、別に指が滑って弾き難いような感じはしなかった。
巻弦は Elixir と似たような感じ。普通。
コーティング無しの普通の弦よりは若干滑りが良いかな、ぐらいの感じ。

両方、生音的には思った程には変化が感じられなかった。
XS の方が若干ドライな感じで、より軽さを感じるかな、ぐらい。
あと若干生音の音量が大きく聞こえるのとボディの鳴り感が増える気がする。
これはなんとなく弦の音質の所為でそう聞こえるだけな気がする。

でもピックアップを通すと、XS の方が断然ダークで「普通」っぽい。
Nanoweb よりダーク。
直接比べた訳じゃないんで判らないけど、なんとなく普通の D'Addario よりダークな気がする。
プレーン弦も巻弦も、Elixir のあのシャリシャリしたハイが無くて好い。
ピックアップを通すと Elixir よりドライ、という感じは生音程じゃないけど感じられる。
Elixir が硬くてウェットな音で、XS がドライでダーク。
音程も XS の方が捉え易い。
XS は Elixir を半ゲージ上げたような音かね。
でも XS の方が音の密度が低いように感じる。
Telecaster にはめっちゃ合う。
けど Les Paul には少し重苦しい感じだった。
Les Paul にはもう一つ下のゲージでもいいかも知れん。

あとほんの少しだけど、Telecaster の3-4弦の音量差問題が多少マシな気がする。

チューニング安定性は、Elixir も良い方だけれど、XS の方が若干早く安定する感じ。
ブリッジ付近で曲がりと摩擦の多い Telecaster でも割とすぐ安定する。

弾いた感じだけど、なんか独特のタッチ感。
左手は若干硬めの Elixir を更に半ゲージ上げたかのような「重さ」がある。
チョーキングも力の入れ方に対して思った程音程が上がらないような感じがする。
特にプレーン弦。
でも「硬い」って感じでもない。靭性が高い感じ。
右手は、逆に半ゲージ落としたかのような、柔らかさというか「粘り」を感じる。
思ったよりピックに負ける感じ。
ガシガシ弾くには良さげだけど、私のように硬いピック(Ultex Jazz III)を使ってチマチマ弾こうとすると、若干ピックに纏わり付く感が増える。

つうことで XS の感想:
  • 音は落ち着きと力強さがあって割と好み。Elixir (Nanoweb、Optiwab) よりは好き。
  • 演奏性は Elixir の方が一寸だけ好み。でもまあ「普通の弦」の範疇と思われる。
あとはどのくらい長い期間張り替えずに使うことができるかってとこか。
ここが一番大事なんだけど、まだ張って1週間も経ってないので。
因みに・・・Telecaster の1弦 0.010 の弦、既にチョーキングの跡が付いていて、フレットとの摩擦にほんのりと「あ、ここコーティング剥がれてるわ」感を指先に感じないではない。
やっぱプレーン弦からダメになるのか?
発売初期の Elixir みたいに「巻弦コーティングしてもプレーン弦が錆びるから、セットの寿命としては普通の弦と同じじゃね?」に近いことが起こるのか。或は起こらないのか。