2020/09/12

ES-339 のネック折れ修理箇所を強固にする

何年か前にネックを折ってしまった Gibson ES-339。
夏蒸し暖かく冬カラカラに涼しい我が家の過酷な環境の所為か、折れたところが開いてしまったり補修部品の当て木が剥がれてきたりして何度もリペアに出してた。
おかしくなる度にリペアに出すのも鬱陶しく思えてきたので、ミスったらネックごと交換するぐらいの覚悟で自分で直すことにしたのが一年程前。
折れた断面部分は Titebond で補修してあるのだけれどそれはそのままにしておいて、当て木をブビンガで作ってエポキシ接着剤で接着した。
半年ぐらいかけてチビチビ修理して、完成したのが半年前

何があった訳でもないのだけれど、最近になってなんとなしに強度に不安を覚え始めた。
ずっと使い続けていて、或時突如バキッと逝くかも知れない、という不安が ES-339 を手に取る機会を減らしている。
ということで、信頼性をより強固にする為に、もう一度補修し直すことにした。

当て木のブビンガとエポキシの部分をハンディールーターと切出小刀で削り落としてしまって、マホガニーの地を出す。
新しいブビンガで当て木を作り直す。
トラスロッドのザグリ穴がネック裏の削った部分から貫通してしまっているので、トラスロッドのワッシャーが入るようにブビンガの当て木に逃げをちょっと大きめに作る。
接着剤を付けずに一旦養生テープで当て木を固定して、トラスロッドのザグリにホットメルトを流し込む。
ホットメルトが固まったら当て木を外して、貫通してる穴からネック裏に出てきたホットメルトをナイフで削って整形する。

マスキングテープでバインディングとか指板とかヘッドとかを養生する。

ブビンガの当て木とマホガニーの接着面を荒し&脱脂して、エポキシ接着剤を両面に塗り込んで塗りたくって、当て木とネックをくっ付けて養生テープで軽く固定する。
因みに今回、この部分のエポキシはコニシの E250 を使った。
硬度と靭性のバランス的に丁度良さそうだったので。一寸硬度寄りだけど。
あと固めのエポキシ接着剤の中では木材への染み込みも少しだけ良い方なので。
前回は慥か何種類かを混ぜて硬化後の特性を調整してたと思う。

一週間放置。

エポキシが完全に固まったらブビンガを削ってネックと一体化するようにする。
前回の修理と同様にボリュートを大きめに作った。
周りの塗装も或程度削り落としておく。
あとトラスロッドのザグリのホットメルトも掻き出しておく。
ここまでは前回と大体同じ。

そしてここからが今回の目玉。
ガラスクロス。
補修分全体を覆うようにガラエポのFRPを貼り付けたら、もう一生折れないんじゃね?
大きめにガラスクロスを切って、エポキシを貼り付け部に薄く塗り込んで、ガラスクロスを貼り付けてマスキングテープで固定し、更に上からエポキシを染み込ませる。
エポキシが或程度固まってきたら余分なガラスクロスを切り落とす。
エポキシが固まり切ったら削って或程度整形し、表面を荒してエポキシを重ね塗りする。
これを繰り返してネックの形状を作っていく。
因みにガラスクロス用のエポキシは東邦産業のエポキシコートを使った。
気泡も入らずガラスクロスにちゃんと良い感じに染み込んでくれる。
硬度はそんなに高くないけど靭性は高い。
ホントはもうちょい硬度の出るヤツがよかったんだけど、なかなか少量では売ってないんよね・・・。
あと2回目以降の塗りは透明エポキシにカーボンブラック(炭素粉顔料)を加えて黒くしてる。

これで大分信頼性が上がった筈・・・。
ネックの根本が少し太くなってしまったけど。

ネックが整形できたら黒のニトロセルロースラッカーのスプレーを2-3回吹いて、上から透明を10回ぐらい吹くいて厚みを付ける。
ラッカーが乾いたら極細のコンパウンド&ワイプオールで死ぬ程磨く。
ドリルに付けるタイプのバフも使ってみたんだけど、なんかうまいことバフ掛けできなかった。

ネックが鏡面ぐらいピカピカになったらほぼ完成。

ダメ押しで、トラスロッドのザグリに半月ワッシャーを1枚入れて、それがヒタヒタにならないぐらいにエポキシを流し込む。
ネジ部にはエポキシが染み込まないようにめっちゃ注意する。
エポキシが垂れない程度に固まってきたら弦を張ってトラスロッドを調整する。
エポキシが完全に固まったら完成。

完成して未だ一週間ぐらいだけれど、安定している感じがする。
ネックの根本が少し太くなったのは普通に弾いていれば意外と気にならなかった。
但、ローコードのFとかで6弦を親指で押さえようとすると、今までより太くなったのが感じられる。

あとやっぱ ES-339 はカリンとした良い音出るわ。