2018/03/11

Cyclopedic Tonebender Mk.II

Tonebender Mk.II系のFuzzを只管作り続けて、色々と機能追加とかしたりもしてきたけれど。
そろそろネタも尽きてきた頃合いだし、今までの実験結果を活かし、現在のところの決定版を作りたい。
つうことで、回路図。
結局基本の回路に戻った感じになったけれども。
結局はオリジナルが好いってことか。
然し乍ら、昨今巷間に蔓延るMk.II系のサウンドをコレ一台で大体は網羅することができると自負しております。

Cycropedic Tonebender Mk.II Schimatic
Cycropedic Tonebender Mk.II Schimatic posted by (C)Ludwig D. Omen

・追加機能
Fuzz: VR1
初段バッファ部のエミッタ抵抗のコレクタ抵抗との比を調節して、その後ろに伝える信号の大きさを調節するトコロ。
絞るとメロウになり、上げるとバリバリ鳴る。

Formant: VR2
2段目のエミッタ抵抗。
絞るとゲート感のあるゴリゴリしたファズらしい歪みになり、上げるとオープン感のある音になってブースター的に使うのに好い感じになる。

R5とR8のTrimは、VR2のFormantを絞り切って他のVRを真ん中辺りに設定して、そのときゲートが掛かって音がブチブチになるぐらいに設定する。
そうすると良い感じにFormantでゲート感とオープン感を調節できるようになる。
最初にR5を真ん中辺りに設定してから調節していくと楽。

Thickness: SW1
ONの場合、歪みの帯域が広がって太め厚めの歪みになる。
音が太過ぎる場合はこれをOFFにすると帯域が狭まり、低音が削れ、細めで軽くてガリガリした歪みになる。

つうことで、表に出てるPotが4つとSWが1つで大体のTonbender Mk.II系の音が出せる。
因みに私は初段バッファをショートカットするSWを付けてFuzz Face風にもなるようにしているけれど。

・部品について
トランジスタはシリコンNPNなら型番は大体何でもいい。
型番が変われば音はまあ変わるけれど、その変化は音の性質の根幹に係わるという程のものでもない。
ftがすげー遅いと高音が削れる感がある気がする。
NFが悪いとホワイトノイズが大きくなる気がする。
同じ型番でもhfeの違いで動作ポイントが変わって音も多少変わるけれど、Trim調節で殆ど吸収されるしそんなには気にしなくていい。
つうことで、ヴィンテージトランジスタとかで物語性や見た目にとことん拘ってもいいし、ローノイズ品を攻めてもいいし、2SC2655みたいな一寸したパワー用なんかを使っても格好良くていい。
大体ちゃんと動く。
因みに私は今は3つ共2SC2362を載せている。なんとなく。
ソケットにしておけば色々差し替えられて楽しい。

コンデンサも積セラでいいし、抵抗は炭素皮膜で十分。別にWIMAでもいいし金皮でもいいけど、恩恵は特には無い。
コンデンサを変えると音もめっちゃびみょーには変わるけど、オーディオ製品でもなし、Fuzzなんだし、どちらがいいと言える程の変化でもないし、オーディオ用コンデンサでも使えば何かがHi-Fiになったりする訳でもない。
その辺、好きにすればよし。

PotとTrimは、耐久性の観点からTOCOSのとか一寸良いものを使うことをお勧めするが、音にはほぼ影響しない。

C6とC7は無くても普通は問題無い。
C3の後ろからC5の後ろまでをショートカットするとFuzz Face系の回路になる。

・音について
強めにクランチさせたアンプに挿して、クリーミーにギラつくクリーンから飽和感と毛羽立ちとが混ざったブリブリの美味しいFuzzサウンドまで、ギターのVolumeだけで行ったり来たりすることができる、というところを目指して作った。

普通のTonebenderだと歪み過ぎたり歪まなさ過ぎたり、或はオープン過ぎたりナロー過ぎたり、またはスイートスポットがめっさ狭かったりして、ギターとアンプを選ぶ。
然しFuzzとFormantの設定でその辺は結構解消できた。
この設定を表に出してるだけで大分融通が利くようになっている。
まあ融通の利かないFuzzも或瞬間だけ輝く「専用機」っぽくて愛着が湧いたりしないでもないが、やっぱ使えるものが欲しいですやん?

まあそんな感じで。
これでひとまず「私のTonebender」は完成した、ということにしよう。
結局単にエミッタ抵抗の設定を表に出しただけやん、ちゅう話ですけど。
思えば遠回りしたものだ。
つうか今まで要らん機能ばっか増やしてたので、ほぼ遠回りしかしてない。